「プラチナ・ジュビリー」のイベントでバッキンガム宮殿のバルコニーに勢揃いした英王室一家/6月5日(gettyimages)
「プラチナ・ジュビリー」のイベントでバッキンガム宮殿のバルコニーに勢揃いした英王室一家/6月5日(gettyimages)

 次は、トゥルーピング・ザ・カラーの時だった。米国に暮らしながら英王室批判を繰り広げる夫妻に対し、女王はバルコニーに出ることを許さなかった。

 そんな夫妻の姿が捉えられたのは、バッキンガム宮殿にある少将執務室の窓際だった。女王の長女アン王女(71)の長男ピーター・フィリップス氏(44)の子ども2人と、王女の長女ザラ・ティンダル氏(41)の2人の子どもに指を唇に当てて「シー」とする姿が見られた。

 英メディアは「ヘンリー王子は、10年前のダイヤモンド・ジュビリーでは軍服に身を包み、父と兄と共に馬にまたがって凛々しい姿を見せていた。今回はバルコニーにも出られず、はるか年下の親戚の子と遊ぶしかないとは」と嘆いた。

■歓声とブーイング

 3日のセントポール大聖堂での礼拝には、ヘンリー王子夫妻も出席した。そこで注目が集まったのは座席の位置だ。チャールズ皇太子夫妻とウィリアム王子夫妻が座った席とは、通路をはさんではるか離れた反対側に案内された。しかも最前列ではなく、前から2番目だった。

 ヘンリー王子の隣に座ったブルックスバンク氏(36)は、女王の次男アンドルー王子の次女ユージェニー王女(32)の夫だ。ヘンリー王子とは顔なじみだが、彼に王位継承権はない。メーガンさんの隣は女王の妹、故マーガレット王女の長女サラ・チャット夫人(58)で、人柄の良さから女王の大好きなめいと言われる。ただし、王位継承順位は28位だ。

 国民には、記念すべき祝いの場であり、またとないチャンスとして家族の和解を期待する声もあったが、そうした兆候はほぼ見られず、ウィリアム王子との間に立ち話もなかった。

 ヘンリー王子夫妻がセントポール大聖堂から帰る階段の途中では、歓声もあがったものの、ブーイングが起きた。メーガンさんは手も振らず、そそくさと車に乗り込むと、滞在先のフログモア・コテージに戻った。礼拝後のレセプションに夫妻は招待されていなかったのだ。

 夫妻が祝賀イベントに参加したいのであれば、許可はする。しかし、英国に居住せず、公務も行わない元ロイヤルに対しての見事な一線の引き方に、多くの国民は納得した。

 すでに王室は、夫妻不在のまま前に進もうとしている。女王が次第に重要公務をチャールズ皇太子(73)に任せるようになり、王室は大きな節目にさしかかっている。

 ヘンリー王子はいつも以上にメーガンさんの手を強く握りしめ、自分がロイヤルの「Bクラス」に格下げされたことに耐えたのだった。(文/多賀幹子)

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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