今夏の参院選では、維新が2人目の擁立を検討しており、立憲も議席を狙う。自民党にしてみれば、「自前の候補(末松信介文部科学相)の当選を確保するのがやっとだ」という厳しい情勢下で、公明党候補を推薦する余裕はないというのが本音だ。

 神奈川でも公明党への逆風が吹いている。衆院神奈川6区で立候補する予定だった遠山清彦元財務副大臣が政府系金融機関の融資の違法仲介を繰り返したとして起訴され、裁判が続いている。遠山元副大臣は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で東京・銀座の高級クラブで会食を重ねていたことが明るみに出て、議員辞職に追い込まれていた。国会議員の不祥事に対して、創価学会の女性部などから不満が出ており、参院選への影響は避けられない。公明党としては、自民党からの推薦を受けて業界団体の取り込みを図りたいところだ。自民党が公明党への支援に動かないなら、「自民党が求めている1人区での推薦も見送るのは当然」というのが、公明党側の理屈だ。

 自民党内では、参院選への影響を心配する声が出始めた。石破茂元幹事長は「公明党からの推薦がもらえない選挙区は結構しんどいことになる。あまりなめてはいけない」と話す。参院選全体の勝敗を左右する1人区の多くでは、自民党候補と野党の統一候補が一騎打ちとなる。自民党が従来のように公明党票を取り込めないと、野党候補を利する場面も出てきそうだ。(政治ジャーナリスト・星浩)

AERA 2022年2月28日号より抜粋