AERA 2022年2月28日号より
AERA 2022年2月28日号より

 夏の参院選に向け、自民党と公明党の間にすきま風が吹いている。連立発足から23年。長いつきあいとなる両党に何があったのだろうか。AERA 2022年2月28日号から。

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 岸田文雄政権を支えるはずの自民、公明両党の関係がぎくしゃくしている。きっかけは、今夏の参院選に向けて自民党が公明党への推薦を渋り、公明党が腹を立てたこと。公明党は自民党への支援を見送るとまで言い出した。亀裂は選挙にとどまらず、国会運営や政策協議にも広がりそうな雲行きだ。連立スタートから23年、自公関係は「熟年の危機」を迎えている。

 自公連立政権が発足したのは1999年。参院で過半数割れに苦しむ小渕恵三首相が決断した。その後、政策づくりや国会運営に加え、各種選挙での協力が続いた。2009年の総選挙で民主党政権が発足、自民、公明両党は下野したが、12年には政権を奪取。自公連立の安倍晋三政権が再スタートした。

 7年8カ月続いた安倍政権では、菅義偉官房長官が公明党の支持母体である創価学会の佐藤浩副会長とのパイプを駆使して自公の協力関係を強化した。

■細る両党間のパイプ

 例えば消費税の軽減税率問題。15年、自民党と財務省は消費税を8%から10%に引き上げる際、いったん10%の税額を支払った後に、食料品などに対して申請すれば2%が還付される制度をまとめた。これに対して創価学会は「食料品は最初から8%に据え置くべきだ」と要求。菅官房長官が創価学会の意向に沿う形で「食料品8%」で強引に決着させ、菅・佐藤ラインの威力を見せつけた。

 自民、公明両党による連立は、人間関係で維持されてきた面がある。連立発足時には小渕首相と創価学会の秋谷栄之助会長との個人的なつながりがあったし、その後も大島理森、漆原良夫両氏は自公の国会対策委員長として緊密に連絡を取り合った。菅、佐藤両氏の関係もその延長線上にある。

 ポスト安倍の菅政権でも自公関係は良好だったが、岸田政権になって様相が一変した。岸田首相自身には公明党・創価学会との有力なパイプがない。自民党の要である茂木敏充幹事長や遠藤利明選挙対策委員長にも、公明党・創価学会側に親密な相手がいない。

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