男子フリーで演技をする羽生結弦/2022年2月10日、北京・首都体育館
男子フリーで演技をする羽生結弦/2022年2月10日、北京・首都体育館

 でも、それでも、残念だったなという雰囲気に包まれなかったっていうか。すごく大きな拍手に包まれて、それに感謝したいなと思ったのと、あと、実際に目に見えてはいないんですけど、きっとこのカメラ越しの向こうにたくさんの方々が応援してくださって、地元の方を含めて、被災地の方を含めて、日本だけじゃなくていろんな国々から見てくださっている方もオリンピックならではだし、そういう方々にも感謝を込めたいなと思って。

 もちろんいつも氷にあいさつはするんですけど、このメインリンクで競技するのは最後だなと思って、先ほども言ったようにちょっと苦しかった部分もあったんですけど、でもやっぱりこの氷好きだなって思って感謝していました。

――ありがとうございます。

 ありがとうございます。

――フリーの後、最後に「4回転半への挑戦はどうされるか」と聞いたのですが、「ちょっと考えさせて」とのことでした。どうなんでしょうか。

 どうなんでしょうかね(笑)。まだ、自分のなかではまとまってはいないです。ただ、あのときもそうだったんですけど、今言えることとして、今回、これを言うことが正しいのかどうかわかんないですし、言い訳くさくなってそれでいろいろ言われるのも嫌だなあっていうか。平昌のときもそうでしたけどね。何か言ったら絶対嫌われるっていうか、何かしら言われるんだろうなって怖い気持ちはもちろんあるんですけど、でも、事実なので。

 (フリー)前日の練習で足を痛めて、4回転半で思いっきり、自分のなかでも、一番に締めて片足で降りにいって、そのときに捻挫(ねんざ)しました。その程度も思ったよりもひどくて、本来だったら、普通の試合だったら完全に棄権していただろうなと思いますし。今も安静にしていないと本当はいけない期間で、ドクターのほうから「もう10日間は安静にしてね」とも言われているんですけど。それぐらい悪くて、朝の公式練習、その当日の朝の公式練習、あまりにも痛かったんで、どうしようかなって思ったんですけど、そのあと注射を打ってもらって、6分間練習の直前に、10分前くらいですかね。注射を打ってもらって、出場することを決めました。

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「おめでとうございます」とはならなかったかもですが