デビュー時(奥)と、1969年5月(手前)の4人。どちらもロンドンのEMI本社で撮影されたものだ。ドキュメンタリー作品「ザ・ビートルズ:Get Back」はディズニープラスにて全3話を独占配信中。加入すればいつでも好きな時間に視聴できる
(c)2021 Disney (c)2020 Apple Corps Ltd.
デビュー時(奥)と、1969年5月(手前)の4人。どちらもロンドンのEMI本社で撮影されたものだ。ドキュメンタリー作品「ザ・ビートルズ:Get Back」はディズニープラスにて全3話を独占配信中。加入すればいつでも好きな時間に視聴できる (c)2021 Disney (c)2020 Apple Corps Ltd.

 ドキュメンタリー作品「ザ・ビートルズ:Get Back」3部作の配信が、11月25日からディズニープラスで始まった。一足先に視聴したビートルズファン歴45年のライターが、レビューする。

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 50年前の出来事を、当時撮影した映像を編集してよみがえらせた計3部、8時間の大長編が、こんなにスリリングなドキュメンタリーになるなんて、やはりザ・ビートルズのマジックなのだろうか。

 ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター。英リバプール出身の若者4人で結成され、1962年にレコードデビュー、自作自演の斬新な楽曲と言動でポピュラー音楽の歴史を変えた奇跡のバンド。70年4月に解散したが、半世紀たつ今も、怪物的な人気を持つ。

 ことの始まりは、妻のシンシアと別れヨーコ・オノと愛し合うようになったジョンのソロ活動がバンドの枠を越え、「解散説」が飛び交うほど活発化、それにポールが危機感を持ったことだった。「ヘイ・ジュード」のプロモーションビデオを制作したマイケル・リンゼイ=ホッグ監督と組み、69年1月18日にビートルズが新曲を披露するテレビショーを企画、新曲を練り上げる様子も盛り込むことにし、撮影班がスタジオでメンバーに密着することになった。

 セッションは69年1月2日に始まり、テレビショーはジョージの大反対で中止されたものの、撮影は最終日の31日まで続けられた。「ゲット・バック」「レット・イット・ビー」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」などのリハーサルやレコーディングを撮影した映像は57時間、音源は150時間。これを素材にリンゼイ=ホッグ監督がつくったのが70年5月公開の映画「レット・イット・ビー」(80分)だ。

「ロード・オブ・ザ・リング」で米アカデミー賞を受賞した、筋金入りのビートルズファンであるピーター・ジャクソン監督が、この膨大な映像と音源を使って新たに編集したのが今回の「ザ・ビートルズ:Get Back」である。前の映画「レット・イット・ビー」の映像はほとんど使われていないようだ。

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長年のファンには「宝の山」