新しい変異が次々に生まれている。第6波が到来するかどうかは、感染性などが増すウイルスの変異が出現する可能性と、ワクチン接種や感染予防といったヒトの対策とのせめぎあいで決まる。 AERA 2021年11月22日号から。
【画像】WHOが分類した「懸念される変異株」「注目すべき変異株」「監視下の変異株」はこちら
* * *
米国や欧州、ロシアなどではいったん収まった新型コロナウイルスの感染が拡大したが、国内では感染者数が激減している。このまま終息に向かうのか。欧米のように流行がぶり返し、第6波が到来するのか。
流行するかどうかは感染する宿主であるヒトと、ウイルスのせめぎあいで決まる。
ヒトがワクチンを打ったり感染したりしてウイルスに対する免疫を持てば感染しにくいし、感染しても重症化しにくい。マスクの着用や3密を避けるなど予防策を徹底すれば、免疫を持たなくてもかなり感染が防げる。
一方、ウイルスの性質の変化によっても流行しやすさは左右される。ヒトへの感染のしやすさや増殖しやすさ、重症化させるか、ワクチンの効果を低下させるか、といった側面だ。
以前とほぼ同じ対策を取ったにもかかわらず第5波が大流行した一因は、デルタ株が以前のウイルスより感染しやすく、増えやすくなった変異株だからだと考えられている。
今後、どのような変異株が登場するのかが、第6波が起きるかどうかのカギの一つになる。
世界保健機関(WHO)は9月21日、変異株の分類「懸念される変異株」と「注目すべき変異株」に、新たに「監視下の変異株」という分類を加えた。
■ウイルスの栄枯盛衰
この分類に指定された変異株は、ウイルスの変異株の栄枯盛衰の縮図のようだ。一時期は大流行していたものの他の変異株に取って代わられ、警戒度が下がった変異株が名前を連ねる一方、これから警戒度が上がる可能性のある変異株も入っている。
国立感染症研究所も10月28日、WHOにならい、変異株を3種類に分類する方針に変更した。