国立感染症研究所による変異株の分類(AERA 2021年11月22日号より)
国立感染症研究所による変異株の分類(AERA 2021年11月22日号より)

 WHOはAY.4.2を含め、AYのつくデルタ株亜型をすべて懸念される変異株に分類している。

 AY.4.2は21年5月に英国で最初に報告され、10月25日現在、42カ国で見つかっている。9割以上は英国からの報告だ。

 英国健康安全保障庁によると、英国内のウイルスはほぼ100%デルタ株だが、9月27日の週には、解析したデルタ株のうちAY.4.2は約6%だった。それが10月18日の週には約11%になった。占有率が高まるということは、他の亜型よりもより増えやすい性質を持っている可能性がある。

 国内では検疫で見つかったが、10月28日現在、検疫以外では検出されていない。

 欧州疾病対策センター(ECDC)は、警戒を緩めた株は「警戒を下げた株」に分類し、それ以外の新しい変異株を監視中の変異株としている。9種類が監視中になっており、うちAY.4.2を含め5種類がデルタ株が変異したものだ。

 亜型を含め、デルタ株に生じた変異で、国内の感染者の急速な減少を説明しようとする仮説が提唱されている。

 国内の新型コロナウイルスは現在ほぼ100%デルタ株だ。新潟大学大学院自然科学研究科 の阿部貴志教授(バイオインフォマティクス)によると、10月18日までに公開された国内のデルタ株のゲノムデータ5万8446件を解析した結果、5万6416件(96.5%)は亜型AY.29だったという。

 一方、デルタ株の前に流行していたアルファ株は、大きくわけて5種類の亜型が国内で流行していたという。

 阿部教授と共同研究する国立遺伝学研究所人類遺伝研究部門の井ノ上逸朗教授は、酵素「nsp14」に注目する。

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