会見を終えて新居マンションに向かう小室夫妻(c)朝日新聞社
会見を終えて新居マンションに向かう小室夫妻(c)朝日新聞社

■世界の潮流とそぐわない「伝統」

――今後の皇室について、原教授はこう考察する。

 改めて、なぜ女性皇族ばかりに批判が向かうのか、という気はします。美智子妃は失声症になり、雅子妃は適応障害に長い間苦しみ、眞子さんも複雑性PTSDの状態にあるとされるなど、心身に何らかの深刻な症状が出ています。

 一方で、皇室をこれからどうするのかという話は、有識者会議でもそうですし、今後、さらに議論されていくと思います。現在の政府の中枢は男系男子の優先維持の方針を下ろしていませんが、今後も男系男子維持派がいまと同じ勢力を維持できるかというと、たぶんそうは言えないのではないか。

 世界的にはジェンダーの平等が取り沙汰され、なぜ国内の女性議員が少ないかが以前より盛んに言われています。言うまでもなく男系男子しか認めないというのは、ジェンダー平等の考え方にはそぐいません。

■革命なくても天皇制なくなる

 身もふたもない話ですが、私はそこまでして、皇室制度を維持しなければならないとは考えていません。というか、大きな革命を起こさなくても、国民の多くがこの制度には問題があり、制度そのものをなくなさない限り問題は解決しないと考えるならば、天皇制はなくなります。日本国憲法を読めばわかることで、第一条に天皇の地位は「国民の総意に基づく」と書いてあります。

 いままではタブーのように扱われていましたが、そもそも宮中には女性に対してより負荷がかかるしきたりが残っている。それは今日の日本社会や我々の生活からあまりにかけ離れ、古色蒼然としています。そのズレはあまりに女性にとって負担を強いるものです。

 現在は皇室制度の維持のために男系男子を維持すべきか、それとも女性天皇や女系天皇を認めるべきかという二分法的な議論ばかりが進んでいますが、天皇制というシステム全体を再検討することが必要な時期に来ているように思います。

◎はら・たけし/1962年生まれ、政治学者、放送大学教授。近現代の天皇制や皇室を研究する。

(構成/編集部・井上有紀子、澤志保)

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