夏休みもまっただ中。残念ながら今年も制限の多い夏休みになり、親も子どもも知らず知らずのうちにストレスが溜まり、家の中がギスギスしがちに。こんな時こそ、「夫婦の会話」を見直してみましょう、と提案するのは教育家の小川大介さんと作家の星渉さん。「AERA with Kids」のインスタライブで行われた二人の対談の一部をご紹介します。

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小川:夫婦の会話を見直す、というとつい「もっとちゃんとした会話をしなくちゃ」とか「もっと会話できる環境を作らなきゃ」と考える人がいますが、やはり「~せねば」と考えてやることって、しんどいんですよね。まずは会話の内容をどうのこうの言う前に、「同じ場所を共有する」というところから始めたらどうかと思うんです。

星:なるほど。会話より先に「場の共有」に目を向ける、ということですね。確かに同じ場所にいるからと言って心が通じ合っているとは限らないですしね。

小川:そうです。会話って英語でconversation(カンバセーション)って言うじゃないですか。語源を調べると、「互いに」と「向きを変える」という単語を組み合わせたものなんですね。つまり、会話ってまずは「お互いに向き合う」、ということです。喋っているつもりでもお互い心はバラバラ、会話は情報伝達しているだけ、ということよくありますよね。まずはその状況に気づいて、抜け出す。

星:心を相手の方に向ける、って大事ですね。私は心理学の研究をしているので「こう言えば相手は心を開きます」とか「この言葉を会話の中に入れると承認を得やすい」などのテクニックもお伝えすることはできるのですが、夫婦間の会話はトークスキルをつければいい、というものでもないです。

小川:うまく言わないと、と思いすぎると言葉が出てこなくなってしまうこともありますから。もちろん使う言葉を大事にすることも必要です。でも、うまい言い回しに縛られるより、まずはここに一緒にいるよね、という感覚を大切にしたいですね。一緒にいて幸せ、とまで思わなくてもいいです。「おはよう」「今度の週末は何して過ごす?」など簡単なものでいい。相手の存在をちゃんと意識して言葉をかける。

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江口祐子
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