小川:相手の行動を変えたい、と思ったとき、「普通こういう時にこういうことしないよね」など価値観の話になると泥沼になりやすいから要注意です。価値観や習慣ってお互いの親から引き継いだものが大きいので、うかつに話し合うとお互いと実家の代理戦争になってしまう。そんなときは、どちらかのルールに合わせよう、とするのではなく、どちらも納得できる「ベクトル合わせ」をするべきです。それには話し合う時間が必要ですね。それができるためのステップゼロとして、先ほど言った「氷を溶かす」作業が必要かと。

星:何かをしてくれたときに「ありがとう」と言う「恩恵的感謝」だけでなく、あらゆるものに「ありがたい」と思う「普遍的感謝」も取り入れていくと、相手に対する期待値が下がってラクになれます。健康で仕事をしてくれてありがたいな、とか、今日も家族が一緒にいれてありがたいな、とか。

小川:そうですね。最後に会話下手な男性へアドバイス。まず今日からでもやって欲しいのがご飯を食べている時に「これ、うまいな」でも「これ、いいね」でもいいので、感想を言ってみてください。おやつを食べている時でもいいです。些細なことに喜んで感情を伝えることって同じ空間にいる人を和ませます。

星:賛成です。あとちょっとした夫婦のリラックスタイムに音楽を流すのもいいです。特に会話をしなくても同じ空間と時間を共有している感じが高まります。

小川:雰囲気を変えたい時も音楽の力を借りるといいですね。サルサとかラテンの音楽を流したらそれだけで楽しい気分になりそうです!

◎小川大介(おがわ・だいすけ)/教育家。京都大学卒業後、コーチング主体の個別指導塾を創設。6千人を超える受験生の相談に乗ってきた。現在、幼児教育から企業人材育成まで幅広く活動中

◎星渉(ほし・わたる)/作家、講演家。著書に『神メンタル』『神トーーク』『99.9%は幸せの素人』(すべてKADOKAWA)は累計30万部を超えるベストセラー

※AERAオンライン限定記事

自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て

小川 大介

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江口祐子
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