では、接種後の症状が、ワクチンの副反応によるものかコロナ感染によるものか見分ける方法はあるのか。
前出の久住医師によると、100%の確率で見分けることはできない。だが、副反応として報告されている症状からある程度の判断がつくと話す。
「注射した場所の腫れや痛み、また発熱や関節痛、筋肉痛、悪寒などはワクチン接種に起因する副反応の可能性が高いと考えられます。一方で、咳や鼻水、鼻詰まり、痰などの症状が見られる場合は、ワクチンの影響とは考えられない。風邪やコロナに感染した可能性を疑った方がいいでしょう」
■十分な免疫は2回接種
依田さんも、激しい咳などの症状があったため病院でPCR検査を受け、新型コロナウイルス陽性と判定された。また、依田さんのケースでもわかるように、ワクチンを1度打ってもすぐに効果は表れない。現在、日本で使われているコロナワクチンは、米ファイザー製と米モデルナ製の2種。厚生労働省は、十分な免疫がつくのは、2回目の接種後、ファイザーで約1週間、モデルナで約2週間たってからとしている。
だが6月下旬、丸川珠代五輪相が気になる発言をした。
東京五輪・パラリンピックのボランティアらから、2回目のワクチン接種を受けずに大会に臨むことに対し不安の声が上がっている点について「1回目の接種で、一次的な免疫をつけていただく」との見解を示した。2回目の接種がなくても免疫はつけられるとも受け取れる発言だが、接種は1度でいいのだろうか。
前出の川村医師はこう話す。
「コロナワクチンは1回目を打って免疫が誘導されます。たとえばファイザーのワクチンは1回目で約50%の免疫がつき、2回目で90%を超える有効性が出ます。免疫を獲得するためには2回接種することが必要です」
依田さんは快方に向かっているそうだが、一度感染した人は接種しなくてもいいのか。
「コロナに感染して治癒すれば中和抗体が生まれ、一定期間は感染が予防できます。ただし、予防できる期間はさほど長くないとされるので、コロナにかかった人でもワクチン接種をすべきでしょう」(川村医師)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2021年7月26日号より抜粋