■ヒゲの植毛を考えた

――普段から自分の人生を振り返ることが多いという。

安田:病気をしたこともありますし、自分の両親や姉と普段からよく会話をしているので。親戚の家に遊びにいけば、子どもの頃のことを思い出しますし、田舎に帰れば幼少期を思い出す。当時のことを思い返せば思い返すほど、「よくいまの自分がいるな」という気持ちになります。芸能界に特に興味を持っていたわけではなかった自分が、姉をきっかけにジャニーズ事務所に入り、さまざまな経験をさせていただいている。「ジャニーズ事務所に入っていなければ(出身地である)尼崎でどのように生きていたんだろう」と思うこともあるので、不思議な感じです。

 そんな気持ちがあるので、ゴッホの役をいただいて、「僕でいいんですか?」と(笑)。普段から趣味で絵を描いたりするのが好きだったので、ゴッホという天才画家を実年齢で演じる機会は、とても貴重だなと感じています。

――演出を担当する映画監督の行定勲は、舞台化に際し、「安田さんは、どことなく風貌がゴッホに似ているじゃないか」とコメントした。

安田:僕自身は、ゴッホ=安田、とはならなかったですけどね。おこがましいにもほどがある、と自分では思っていて(笑)。ですが、「ゴッホに似せるにはどうすればいいんだろう」ということは、自分なりに一生懸命考えました。お話をいただいたときは、「ヒゲを植毛しに行こう」と本気で考えていたんです。

 実は、(公式モバイルサイトである)「ジャニーズウェブ」でも、昨年の秋に「もし、ヒゲを生やした役が来たら、僕は植毛をすればいいのだろうか」という悩みを綴ったことがあるんです。その時はゴッホの役を演じることを、ファンの方は知らない時期だったのですが、実はずっと悩んでいて(笑)。いろいろな方に相談するなかで、「植毛しても定着するまでに時間がかかる」ということを知り、諦めたんですけれど、少なくとも、半年は本気で考えていました。

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