退院3カ月後に、肺から血液中に酸素を供給する機能「肺拡散能」が標準値に比べて8割に満たなかった人が、重症だった人では52%にのぼった。一方、中等症2だった人では27%、中等症1では17%だった。また、最大限努力して息を吐く時の「努力肺活量」が標準の8割未満だった人は重症だった人では26%、中等症2の人で7%、中等症1の人で6%いた。

 こういった肺機能の低下を反映し、退院3カ月後の自覚症状として「息苦しさ」を挙げる人が、重症だった人では50%にのぼった。

 ただし、退院3カ月後の自覚症状でもっとも多かったのは「筋力低下」だった。重症だった人の約77%、中等症2の人の53%、中等症1の人の41%が自覚していた。

 研究班代表で日本呼吸器学会理事長の横山教授は、こう話す。

「肺機能の低下が長引くことは海外からも報告がある。さらに時間が経てば、少しずつ改善していくと考えられるが、今後も3カ月ごとに調べて、実態を明らかにしていきたい。一方、これほど大勢が筋力低下を感じているとは予想外だった。入院中にリハビリを受けていた人もいるので、リハビリの効果なども今後、検討していきたい」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年7月12日号より抜粋