■すべては考え方次第

——6月20日からは、アルバムを引っさげたソロツアーの開催を予定している。緊急事態宣直発出直前の4月下旬の会見の席で、堂本は「希望を持ってやっていくことが大事」「中止になっても無駄ではない。向かっていった事実、経験がある」と語っていた。

堂本:正直、「こんな状況ならやらんほうがええんちゃうの?」って思う自分もいるんですよ。ただ、本当は去年開催するはずだったもので、いろいろな事情を考慮するとこれ以上先延ばしにもできない。

 開催を発表することによって、改めて自分を律して、緊張感を持って生きていくことができる。感染しない、させないようにしようとか。こうした状況のなかで、足を運んでくださるお客さんに「来て良かった」と思っていただけるものを作らなくてはならないとか。じゃないと、進まないですから。

「無理でしょ」と言って、停滞するのは簡単なんですよ。でも、今できることを模索しながら生きていったほうがいい。もちろん、そのためには、世の中の動きを柔軟に捉える必要がある。医療が崩壊するとか、大変な状況になったときには、潔くやめなくてはならない。その覚悟がなければ、「やろう」とは言えません。

——実際、感染拡大防止のため、2020年2月には主演舞台「Endless SHOCK」の公演中止をいち早く決断した。一方で同年9月には、感染対策を考慮したスピンオフ舞台「Endless SHOCK─Eternal─」を生み出すなど、歩みを止めていない。

堂本:去年の2月時点では、新型コロナウイルスは今よりも得体の知れないものでした。演者だけで40~50人いるカンパニーのリスクマネジメントをどうやっていくのか。それを自信を持って説明できるか。できないんだったらやめよう、というのが自分の意見でした。

 結局、すべては考え方次第なんですよね。もちろん、誰かに感染させてはいけないし、感染を広げてはいけない。そのなかで何を正しいと思うかは人それぞれだし、難しい問題です。だけど自分としては、柔軟性をもって前に進んでいきたいんです。

——だが、努力を積み重ねて作り上げたものが日の目を見ることなく終わる可能性があるというのはつらいことだろう。そう伝えると、笑顔でこう答えた。

堂本:さっきも言ったように、俺、稽古が好きなんですよ。もしも披露することもなく中止になってしまったとしたら、またそこで考えればいいじゃないですか。来年どこかで何らかのかたちでやるとか。そうなった場合、自分は来年まで芸能生活が保障されていることになる(笑)。考え方次第です。

(朝日新聞出版・野村美絵)

AERA 2021年6月7日号