ソロ活動って、本当に自分自身の表現じゃないですか。前回から6年も空いてしまったのは、昨年出す予定が世の中の状況で難しくなったこともありますが、そこに対する意欲がそんなに高くなかったこともあるんです。

「自分自身を見せたいと思わない」って、表現者としてはアウトですよね。ファンの方が聞いたら、「はぁ? コイツ何言っとるんじゃ、ボケ」と思われるかもしれませんが(笑)、そういう感覚で自分をお見せするほうが失礼になると。自分自身を発見できなくなっていたわけじゃないけど、舞台で役を演じるほうが、いろいろ追求していけるという感覚が強かったんです。

 だけど、スクエニ(スクウェア・エニックス)さんとの出合いがあって、新しいものが生まれていくワクワク感を久しぶりに感じて、こうしてかたちにすることができました。

■すべてが無限大になる

——スクエニは「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」シリーズなど、世界的なゲームを開発してきた。堂本が「ファイナルファンタジーXI」のファンを公言していたことからコラボレーションが実現、アルバム収録曲「V(ファイブ)」とそれをモチーフにしたショートムービーが制作された。フルCGと実写、2人の堂本が王と影武者を演じ、物の怪(け)と対峙する映像は、迫力と美しさを併せ持つ。その画像はアルバムジャケットにも使用されている。

堂本:(スクエニの)野末武志さんたちとの話は、非常におもしろかったですね。自分のやってきたことと真逆なんですよ。

 自分の場合、ライブにせよ舞台にせよ、自分の体を使ってなんぼだし、代わりはいない。「こういうことやりたいけど、絶対無理だよなぁ」の繰り返しで、どうやって現実に落とし込むかを考えなくてはならない。

 それがCGとなると、すべてが無限大になる。もちろんCG制作は非常に細かい、大変な作業なんですけど、「やれないことはない」という考え方をもっていらっしゃる。

 これは、自分の想像の範疇(はんちゅう)にない何かが生まれる、できなかったことが現実にできるようになっていく第一歩なんだと思います。ただ、めちゃめちゃお金かかるんです(笑)。金額は明かしていませんが、普通じゃないですね。

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