子どもが夢中になって遊んでいるとき、どうやって切り上げるかは悩ましい(写真/gettyimages)
子どもが夢中になって遊んでいるとき、どうやって切り上げるかは悩ましい(写真/gettyimages)

 子どもとしばらく公園で遊んで、帰る時間が来たとしましょう。親は「帰るよ」と声をかけますが、子どもは「イヤだ~」「帰りたくない~」「まだ遊びたい~」と駄々をこねます。子育てをしていると、毎日のように発生するトラブルではないでしょうか。こんなとき、皆さんだったらどうしますか?

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 日本のお父さんお母さんを見ていると、もちろん全員が全員ではありませんが、次のような対応をすることが多いように思います。「しょうがないな。じゃ、あともうちょっとね」と妥協。そして、子どもが納得するまで遊ばせる。最初にかける「帰るよ」の言葉はまったく形骸的で、「帰るよ」→「イヤだ」→「じゃ、あとちょっとね」までがひとつの儀式になっているようです。

 一方、アメリカのお父さんお母さんはこうです。「帰るって言ったでしょう」とキッパリ。そして有無を言わさず子どもを帰り路へと連行。以上。初めから「4時に帰るよ」と子どもに約束しておいて、「あと10分だよ」「あと5分ね」とカウントダウンし、4時になったらキッチリ帰る人も多いです。その習慣がついているせいか、「帰りたくない~」とぐずる子も日本と比較すると少ないように感じます。もちろん子どもですからハーイと素直に従うわけではないですが、ぐずっても仕方ないと心得ている子が多いようです。

 日本の保護者が「しょうがないな、あと少しね」と妥協してしまうのは、習慣だからというのに加えて、「子どもの気持ちを優先してあげたい」「親の都合を押し付けるのはかわいそう」という感情がどこかにあるからではないでしょうか。しかしアメリカでは、一度決めたことを何度もひっくり返しているとかえって子どもに悪影響だという考え方があります。

 アメリカでは、両親のほかに祖父母、きょうだい、ベビーシッター、デイケアの職員など複数の人が日常的に育児参加することが多いからかもしれませんが、「育児の一貫性」ということがとても重視されます。小児科の定期健診でも、「子どもに出す指示は一貫性が取れていますか?」という質問をされます。一貫性というのは、「すべての養育者が同じ内容の指示を出す」ということであり、「時と場合によって言うことを変えない」ということでもあります。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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