アストラゼネカ社は今月5日、承認申請を出した。3月中に承認に必要な国内臨床試験(治験)のデータをまとめるとしている。世界保健機関(WHO)は、同社製ワクチンを18歳以上のすべての年代に推奨しているが、ドイツなどは当面、高齢者への効果や安全性のデータが不足しているとして、65歳以上には接種していない。また、南アフリカは、同国で発見された変異ウイルスへの効果が低いとして、同社のワクチン接種を中止した。

 国内の特例承認にあたっても、高齢者への接種などが議論になる可能性がある。承認が出れば、同社製ワクチンは国内で9千万回分生産することになっている。

 モデルナ社製ワクチンは米国などではすでに接種が始まっているが、国内承認に必要な国内治験は1月に始まったばかりだ。

 当面、ワクチンの供給量が限られるため、地域によって提供されるワクチンの種類は限定され、接種する人がワクチンを選ぶ余地はない可能性が高い。

 Q:接種回数は1回? それとも2回?

 A:2回の接種が原則。同じメーカー製のワクチンを一定の間隔をあけて接種する。

 新型コロナウイルスに対する基礎的な免疫をつける接種と、その免疫をさらに強めるための接種の2回を行うのが原則だ。

 1回目と2回目の間隔は、メーカーごとに異なるだけでなく、国によっても方針がやや異なる。WHOの暫定指針は、ファイザー社製は3~4週間、モデルナ社製は4週間、アストラゼネカ社製は8~12週間の間隔をあけるとしている。

 現状では同じメーカーのワクチンを2回続けて接種することになっている。しかし、世界的にワクチンが不足している中、状況によっては異なるメーカーのワクチンしか準備できない可能性もある。この異なるワクチンを打った場合の効果や安全性を調べる研究も海外では始まっている。

 また、開発中のワクチンの中には、1回で十分な効果が得られたという報告のあるワクチンも存在する。

※【いよいよ接種開始のコロナワクチン、持続期間や打たないほうがいい人は? Q&Aで解説】へ続く

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2021年2月22日号より抜粋