住宅の広さに対して住む人数が多い場合は、24時間換気システムがない住宅と同じ対策もしたほうがいい。

 24時間換気システムがない住宅では、定期的な窓開け換気で外の空気を取り入れる必要がある。対角線上にある2カ所の窓を開けるのが最も効果的だが、窓が一つしかない場合はキッチンやトイレにある換気扇も併用するとよい。

「一般住宅の場合、1時間に10分が目安となりますが、一度に10分開けるより、2回に分けて5分間ずつ開けたほうが効率的。また冬場は夏場と比べて室内と室外の温度差が大きく、暖かい空気が冷たいところに逃げようとするため、窓を開けると空気が自然に流れやすくなります。それに加えて、冬は風も強いので、夏場より少し短い時間でも必要量の換気ができます」(野呂さん)

 窓を開けるといっても全開にする必要はなく、空気調和・衛生工学会によると、5~10センチ程度で十分だという。また、窓を開ける際は暖房のスイッチを切らないことも大切だ。

 もし正しく換気ができているのか知りたい場合は、CO2センサーで二酸化炭素濃度を測定するという方法もある。1人あたり30立方メートルの換気量は、二酸化炭素濃度が千ppm以下(空気中の二酸化炭素濃度が0.1%以下)と置き換えられるという。

「二酸化炭素濃度が上がると、集中力の低下や熟睡できなくなるなどの弊害もあります。24時間換気システムがついている家であっても、寝る前、起き抜け、帰宅時など、空気がよどんでいると思ったら、暖房をつけたまま、少し窓を開けましょう」(倉渕教授)

 感染対策を考えるなら、換気に加え、空気清浄機を使うとさらに効果的だ。現在販売されているほとんどの空気清浄機に、会話時に出る大きさの飛沫をキャッチできるフィルターがついている。エアコンの気流に乗る場所やエアコンの真下に置くとよいという。窓の近くに置けば、花粉対策にもなる。(ライター・井上有紀子)

【関連記事/冬の換気は「室温18度・湿度40%以上」を維持しながら 「住まいが暖かくなれば疾患予防、重症化リスクも軽減」と専門家】はこちら

AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号より抜粋