「空気がよどんでいる」と感じたら、窓を少し開けよう。換気状況を調べる二酸化炭素濃度を測るセンサーは「1万円以上の機器が信頼できる」(倉渕隆教授)(撮影/写真部・小黒冴夏)
「空気がよどんでいる」と感じたら、窓を少し開けよう。換気状況を調べる二酸化炭素濃度を測るセンサーは「1万円以上の機器が信頼できる」(倉渕隆教授)(撮影/写真部・小黒冴夏)

 冬の換気は寒さとの闘い。換気だけして室温と湿度が下がれば逆効果になりかねない。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号は、適切なタイミングと時間、そしてその方法を聞いた。

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 新型コロナウイルスの感染対策として換気が推奨されている。だが冬本番を迎え、換気の徹底とともに寒さが気になるようになってきた。東京理科大学の倉渕隆教授(空気調和・衛生工学会副会長)はこう話す。

「新型コロナの感染者と至近距離で15分間密室にいたら感染したという事例もある。換気は必須ですが、換気をしすぎると室温が下がり、部屋を暖めると今度は湿度が下がる。冬の換気は、室温・湿度とのバランスを保つ必要があります」

 暖房をつけているのに寒いと感じるなら、換気のしすぎだ。

 感染防止に必要な換気量は研究段階だが、厚生労働省は感染リスクの高い状況を回避するための環境として「1人あたり1時間30立方メートル」を推奨している。建築基準法では小規模建物は20立方メートル以上、建築物衛生法で大規模建物は30立方メートル以上と定められており、近い水準だ。住宅の場合はこの基準ではないが、例えば30坪の家で4人暮らしの場合、1人あたり1時間30立方メートルの換気量が確保されるようになっている。つまり、まずは建物についている換気システムや窓を正しく使うことが重要だ。

 建築基準法が改正された2003年7月以降に建てられた住宅の場合、24時間換気システムがある。ただし、この機能を使いこなしていない家も多い。ダイキン工業の広報・野呂朋未さんにポイントを聞いた。

「まず、24時間換気システムのスイッチをオンにして、換気口を開けましょう」

「24時間換気システム」のスイッチは、浴室などについていることが多い。各部屋の壁にある「換気口」から外の空気を入れ、浴室やトイレの天井にある「排気口」から出してくれる。

 また、部屋の壁に取り付けられた換気口は、外の空気を取り込むためのものだが、周囲の壁が外気によって黒ずむ、寒いなどの理由によって、閉じたままにしている家もある。台風や大雨などの場合をのぞき、開いたままにしておくのが基本だ。換気口の中にあるフィルターは、汚れたら洗うと換気の性能が上がる。

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