■バイデン最善ではない

 彼は、バイデン氏が最善という訳ではないと言うが、18歳から投票を一度も欠かしたことがないため、同氏に投票した。

 実は、今回の選挙で目立った動きがあったのは、彼のような若者層。伝統的に投票率がかなり低く、民主・共和両党が獲得に苦労してきた。16年選挙の際、65歳以上の70.9%が投票したのに対し、18~29歳は46.1%に留まった(米国勢調査局による)。ところが、ハーバード大のインスティテュート・オブ・ポリティクスが行った事前調査によると、今回は18~29歳の63%が「絶対に投票に行く」と答えた。さらに、出口調査での同年齢層の投票結果は、「トランプ氏に投票した」が35%、「バイデン氏」が62%だった。30歳以上では両候補が獲得した割合がほぼ拮抗(きっこう)しているのに対し、若者層のリベラル志向が目立つ。

 非営利団体センター・フォー・アメリカン・プログレスによると、ミレニアル(1981~96年生まれ)とZ世代(97年以降生まれ)で投票年齢を迎えた若者は今年、有権者全体の37%に達した。これまで投票率を底上げしていたベビーブーマー(1946~64年生まれ)は28%に縮小している。2036年の大統領選挙年には、有権者に占めるZ世代が35%、ミレニアルが25%、ベビーブーマーが17%となる見込み。このままリベラルな若者が増え続けるのは、共和党にとっては不吉なデータだ。(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))

AERA 2020年11月16日号より抜粋