バイデン氏はカマラ・ハリス氏とともに記者団に「民主主義は時に混乱する。少しの忍耐が必要なこともある」と語った/11月5日、デラウェア州ウィルミントン(Drew Angerer/gettyimages)
バイデン氏はカマラ・ハリス氏とともに記者団に「民主主義は時に混乱する。少しの忍耐が必要なこともある」と語った/11月5日、デラウェア州ウィルミントン(Drew Angerer/gettyimages)

 いまだ混迷が続く今回の米大統領選で、カギを握ったのは若年層の有権者だ。有権者の年齢層の変化は今後の選挙にも大きく影響しそうだが、一方で高齢の候補者ばかりで「選択肢がない」との声もあがっている。AERA 2020年11月16日号の記事を紹介する。

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 11月3日の投開票日の翌日4日夜、小売店マネジャーのグラント・タッカー氏(35)が、ニューヨーク市内のバーでスマートフォンを友人とのぞき込んでいた。AP通信の選挙速報アプリが暗闇で画面に光り、激戦州の東部ペンシルベニア、南部ジョージア州などの開票状況を頻繁にチェックする。

「見てごらん。ペンシルベニアではまだ100万票も開票されていない。これではまだトランプかバイデンかどちらが勝つのか結果の予想ができない!」

 と、ストレスを隠さない。3日夜に当確が出ず、集計に時間がかかる郵便投票の結果などを24時間以上も待っているためだ。

 タッカー氏は、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)に投票した。が、故郷で保守派が強い中東部ケンタッキー州の両親は、トランプ派で、両親とは選挙の話は一切しない。また、彼の不満は、米民主主義の特徴でもある二大政党制にある。

「若い有権者が増えているのに、今回民主党は、大統領として最高齢のトランプ(74)をさらに超える年齢のバイデン候補しか選べなかった。77歳だよ。2016年のヒラリー・クリントン候補(当時69)も当選すれば、史上2番目に高齢の大統領になるはずだった。若い有権者が投票したいと思っても、選択肢がないのは、ひどくないか」

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