(左から)塩田武士、小栗旬、星野源(撮影/写真部・東川哲也)
(左から)塩田武士、小栗旬、星野源(撮影/写真部・東川哲也)
映画「罪の声」は10月30日公開。著者が15年の歳月をかけて完成させた同名原作小説の世界観を忠実に再現 (c)2020 映画「罪の声」製作委員会
映画「罪の声」は10月30日公開。著者が15年の歳月をかけて完成させた同名原作小説の世界観を忠実に再現 (c)2020 映画「罪の声」製作委員会

 事件を語る人の表情も、声も、すべてが生々しさに満ちていた。昭和最大の未解決事件をモチーフに書き上げられた塩田武士のミステリー小説『罪の声』が映画化された。事件を追いかける新聞記者・阿久津英士を小栗旬、事件に巻き込まれる曽根俊也を星野源が演じる。原作者である塩田武士を交えた3人が、10月30日の映画公開を前に、作品への思いを明かした。全文はAERA 2020年11月2日号に掲載されている。

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 小栗旬演じる阿久津と星野源演じる曽根は、それぞれ異なる方向から事件を追いかけてく。作中では、2人が対峙するさまざまな関係者の「声」によって、少しずつ事件の全貌と犯人の正体が明らかになる。事件の証言者を演じるのは、橋本じゅん、塩見三省、火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子など、いずれも円熟したベテラン俳優たちだ。

小栗旬(以下、小栗):映画の中で、阿久津は毎日のように違う人に取材に行くんですけど、実際の撮影でも日替わりでたくさんの先輩方と共演させていただきました。皆さん本当に十人十色の個性があって、刺激的でした。特に印象深かったのは宇崎竜童さんとの共演シーンです。そのとき僕は36歳、宇崎さんは73歳で、年が倍以上離れていたんです。「俺が宇崎さんと同じレベルになるには、あともう一回自分の人生を生きなきゃダメなんだ」と思ったことを覚えています。

 取材を進める阿久津は、やがて「テープの声の子ども」の一人である曽根の元にたどり着く。小栗が星野と共演するのは、2015年のドラマ「コウノドリ」以来だ。映画では、今回が初共演となる。

小栗:源ちゃんとは、プライベートでは何度か会ってるんだけどね。

星野源(以下、星野):ただ2人きりでというより、たくさんの友達がいる中で話すみたいな感じで。

小栗:しかもそういうときは大体、俺がベロベロに酔っぱらってる(笑)。

星野:そうそう(笑)。だから今回の撮影で「やっとシラフの旬君と話せる」って感じでした。

小栗:共演して、ようやくお互いのことを深く知れた感じがします。

星野:当たり前だけど、飲んでるときとは全然違いました(笑)。旬君は「そっとその場所にいる」感じでしたね。丁寧にお芝居に臨む人だなと。

小栗:現場での過ごし方は、源ちゃんと似てるとこがあるかもね。なんか「普通にいる」みたいな。気負うことなく、自然に、静かに仕事に集中する感じ。

星野:しゃべっててもしゃべらなくても、気を使わずにいられる安心感があった。居心地がとても良かったです。

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