ベネチア銀獅子賞の黒沢清監督「まだまだ捨てたもんじゃない」 日本映画に見出した希望 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ベネチア銀獅子賞の黒沢清監督「まだまだ捨てたもんじゃない」 日本映画に見出した希望

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坂口さゆりAERA
黒沢清(くろさわ・きよし、左):1955年生まれ、映画監督、脚本家。主な監督作に「CURE」(1997年)、「回路」(2001年)、「散歩する侵略者」(16年)など。「スパイの妻」が第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞/高橋一生(たかはし・いっせい)/1980年生まれ、俳優。テレビドラマ、映画、舞台に出演多数。主な映画の出演作に「億男」(2018年)、「引っ越し大名!」(19年)、「ロマンスドール」(20年)など(撮影/写真部・掛祥葉子)

黒沢清(くろさわ・きよし、左):1955年生まれ、映画監督、脚本家。主な監督作に「CURE」(1997年)、「回路」(2001年)、「散歩する侵略者」(16年)など。「スパイの妻」が第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞/高橋一生(たかはし・いっせい)/1980年生まれ、俳優。テレビドラマ、映画、舞台に出演多数。主な映画の出演作に「億男」(2018年)、「引っ越し大名!」(19年)、「ロマンスドール」(20年)など(撮影/写真部・掛祥葉子)

「スパイの妻」は10月16日(金)から全国公開される。高橋一生が貿易会社を営む優作を、蒼井優がその妻を演じた (c)2020 NHK, NEP, Incline, C&I

「スパイの妻」は10月16日(金)から全国公開される。高橋一生が貿易会社を営む優作を、蒼井優がその妻を演じた (c)2020 NHK, NEP, Incline, C&I

 黒沢清監督が映画「スパイの妻」で第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した。出演者の一人である高橋一生さんと共に撮影を振り返った。AERA 2020年10月5日号から。

【写真】映画「スパイの妻」の場面カットはこちら
*  *  *
 1940年、神戸で貿易会社を営む優作(高橋一生)は、満州で国家機密を知ってしまう。妻の聡子(蒼井優)は、正義のため、真実を世に知らしめようとする夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、愛する夫とともに生きることを誓う──。「スパイの妻」は太平洋戦争前夜の日本を舞台に、時代にのまれていく夫婦の愛を描いたサスペンスだ。黒沢清監督は本作で第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)に輝いた。

高橋一生(以下、高橋):銀獅子賞、おめでとうございます。

黒沢清(以下、黒澤):ありがとうございます。長く映画を続けていると、こんな幸運が舞い込むんだとしみじみ感じています。

高橋:10代の頃から黒沢監督の映画を映画館で拝見してきたので、お話をいただいた時はものすごくうれしくて。マネジャーに2度確認するほどでした(笑)。

黒沢:以前から40歳前後の日本の俳優の話になると、高橋さんのお名前が真っ先に挙がりました。テレビドラマを中心に見させていただき、本当はどんな方だろうと気になっていたんです。

高橋:この映画は表面的には穏やかに流れているように見えるのに、水面下は激しく流れる川のように、奥底の激しさを俳優の芝居や演出で物語っていく。僕はそういう作品に出演する機会があまりなかったので、とても楽しみだったんです。

黒沢:俳優のポイントの一つは、セリフを普通に何げなく話すことで、実はすごく難しい技術だと思います。しかも、今回は舞台が1940年ごろですから、普通に生活していて話せるセリフではない。量もものすごいでしょう。それを高橋さんは実に自然にスラスラと話す。感情を込めつつ、確実に意味が客の耳に入ってくる。感情に任せてセリフを言うと、雰囲気は伝わるけれど何を言っているのかわからないことがあります。高橋さんはそれを普通にできる技術を持っているから、素晴らしい。


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