安倍政権が遺した極端な「分断社会」 主張が違う人を全面否定、排除の論理が台頭 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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安倍政権が遺した極端な「分断社会」 主張が違う人を全面否定、排除の論理が台頭

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石臥薫子AERA
社会の分断が激化している。コロナ禍の不安がその対立を増幅させているようだ(撮影/松永卓也)

社会の分断が激化している。コロナ禍の不安がその対立を増幅させているようだ(撮影/松永卓也)

AERA 2020年9月14日号より

AERA 2020年9月14日号より

 7年8カ月の長期政権のもと、親安倍も反安倍も、それぞれに「ラブ」と「ヘイト」が増している。AERA 2020年9月14日号で掲載された記事から。

【社会の分断にまつわる動きはこちら】

*  *  *
 8月28日、シンガー・ソングライターの松任谷由実さんがラジオで語った話が発端だった。松任谷さんは「(同日の安倍首相辞意表明会見を)テレビで見ていて泣いちゃった。切なくて」と思いを吐露。安倍氏とは「プライベートでは同じ価値観を共有できる」などと語った。

 これに対し、『永続敗戦論』などの著書があり、安倍政権を厳しく批判してきた政治学者の白井聡氏は自身のフェイスブックにこう投稿した。

「荒井由実(注・荒井は松任谷さんの旧姓)のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」

■怒りの言葉より冷静に

 当初は同調する声もあったが、やがてネット上で非難が殺到。元大阪府知事の橋下徹氏はこう批判した。

「こんな発言を俺たちがやれば社会的に抹殺だよ。白井氏は安倍政権をボロカスに言っているが、安倍さんもさすがに白井氏のようなことは言わない」

 9月1日、白井氏は投稿を削除した上でこう弁明した。

「私は、ユーミン、特に荒井由実時代の音楽はかなり好きです。それだけに、要するにがっかりしたのですよ。偉大なアーティストは同時に偉大な知性であって欲しかった。そういうわけで、つい乱暴なことを口走ってしまいました。反省いたします」

 しかし炎上はやまず、勤務先の京都精華大学がお詫びと白井氏に厳重注意したことを公表。3日には同氏が改めて「松任谷由実氏に、心からお詫びを申し上げます。また、不快な思いをされた多くの皆さまにもお詫びいたします」と全面謝罪した。

 死んだほうが……などという表現が許されないのは当然だが、ジャーナリストの津田大介さんは、問題はもっと根深いと話す。

「安倍首相の会見でユーミンと同じようにしんみりした気持ちになった人は結構な割合でいたはず。そうでなければ35%だった支持率が辞意を表明した途端に20ポイント以上跳ね上がるなんてあり得ない。辞任表明後の朝日新聞の世論調査でも7割が安倍政権を『評価』しています。このことは、リベラル派は認めたくないつらい現実です。苛立って怒りの言葉をぶつけるのではなく、本来はその現実に冷静に向きあうべきでした」


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