そう言ってニッと笑う。フィンチは物おじしない胆力と話術、トボけた愛嬌(あいきょう)があって、それも出世の武器となるが、そんなフィンチの魅力はどこか増田さん自身とも重なって見えた。

増田:普通だったら嫌われそうなところも、フィンチだからうまくいく。僕にも、「この人だから応援したい」と思ってもらえる魅力があるとうれしいです。人が好きなので、人付き合いは得意ですね。たとえば先輩と一緒にご飯を食べているとき、じゃあ次はワインにしようか、となれば「僕もワイン大好きなんですよ!」と目が輝くし、ウイスキーにしようかとなったら「ウイスキー大好きなんですよ!」とナチュラルに言えます。そういう面は、フィンチとよく似てますかね。うそをついてるわけじゃないんですよ。少しだけ大きく言うというか、クイックに相手に合わせられるというか。好きなものが一緒とかそういう小さなことって、大切じゃないですか。人付き合いの中で学ぶことも多いし、人間力も鍛えられると思うので、自分のそういう姿勢は大切にしたいなって。

 増田さんが会社員なら出世しそうだが、もし『努力しないで出世する方法』という本があったら、読みたいだろうか。

増田:読んでみたい。あったら買いますね。普通に努力はしますけど、サラリーマンだったら出世はすごく意識しちゃうタイプだと思うので。大卒で入社したとしたら、勤続年数22年は役職もつくころですよね。そんなことを考えることもあります(笑)。まぁ、先輩と後輩に挟まれる中間管理職的なところはあります。ただ、人の活躍を見て焦ることはあまりないですね。もちろん、うらやましいなぁと感じることはありますが、自分は今はその時じゃないんだろうな、と思うので。結局、僕は歌やダンス、お芝居などで表現することが大好きなので、その作品を通して誰かを元気にできたり、ファンになってもらえたりすることが一番うれしい。それは全力でやり続けますし、少しずつでもレベルアップしていけたらいいなと思っています。

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