ロックダウンや緊急事態宣言の最中は、子どもは家族以外とはほとんど接触せず、保護者もテレワークで外部から感染を持ち込む機会も極めて少ない、という環境にいた。

「現時点では、子どもは感染しにくいという科学的な根拠は示されていない。一方で、学校や経済活動の再開後に、学校や保育園のクラスターで感染が拡大しないか、今後見極める必要がある」(神谷さん)

 神谷さんは、子どもの場合、多くは無症状や軽症ですんでいるが、重症化しないわけではないので、「引き続きできるだけ感染させないよう注意をした方がいい」と言う。

「周りの大人がこまめな手洗いなど感染防止対策をしっかりし、子どもにウイルスを近づけないようにすることが大切だ」(同)

 国内よりもけた違いに大勢の子どもが感染した欧米では、やはり大部分は無症状や軽症だが、まれに全身の血管に炎症が起きる「川崎病」に似た重い症状に陥る子どもがいる。

 聖マリアンナ医科大学の清水直樹教授(小児救急・集中治療)によると、これまで国内では、こういった症状が起きた子どもは報告されていない。新型コロナウイルスによる肺炎が重症化して人工呼吸器が必要になった子どももほとんどいないという。

 ただし、感染人数が増えれば重症化する例が増える可能性はある。清水さんはこう強調する。

「子どもは高齢者に比べれば重症化する頻度は低いものの、一定の比率では重症化する。だから油断はできない。大人がまず、『3密』などの対策を継続し、子どもに感染させないようにすることが重要だ」

(ライター・大岩ゆり)

AERA 2020年8月3日号より抜粋