真鯛の側線 (出典:WEB魚図鑑)
真鯛の側線 (出典:WEB魚図鑑)
ギィーギィーと鳴くギギ(出典:WEB魚図鑑)
ギィーギィーと鳴くギギ(出典:WEB魚図鑑)
翼のような立派な胸ビレのホウボウ(出典:WEB魚図鑑)
翼のような立派な胸ビレのホウボウ(出典:WEB魚図鑑)

 7月も半ばを過ぎ、梅雨明けのニュースが待ち遠しい季節になりました。筆者は例年、朝のセミの声で梅雨明けが近いことを予想するんですが、今朝、今年初めてセミの鳴き声を聞きました。今年の梅雨明けも近いのではないでしょうか。

【写真】「ギィー、ギィー」と鳴く魚はこちら!

 このように我々人間は、耳からも多くの情報を入手していますが、魚たちはどうなんでしょうか? そもそも魚に耳はあると思いますか? 魚の顔を思い出してみても、顔の周辺に耳のようなものがついているイメージはないのではないでしょうか。

 でも例えば、池の鯉がパンパンと手を叩くと寄ってきたり、釣り場では魚が逃げるので大きな音を立てるなと言われたりしますよね。

 魚はどうやって音を聞いているんでしょうか?

 実は魚には、人のような体の外側についた「外耳」と呼ばれる耳はありませんが、頭の中に「内耳」と呼ばれる音を感じる器官を持っていて、ここで音を感じ取っているんです。

 人間も同じですが、内耳の中に耳石(じせき)と呼ばれる小さな石のようなものがあり、これが空気や水によって振動することで音を認知しているんです。

 浮袋のある魚は、水の振動を浮袋で増幅させて耳石に伝えることで、より敏感に音を感じとることができるようになっています。

 そしてもう一つ、魚独自の音を感じる器官として、側線というものを備えています。側線とは、魚の体のエラ蓋の上部あたりから、尾びれに向かって体側に真っすぐに並んでいる、点線のように見えるものです。

 この部分だけウロコが独特の形をしていて、小さな穴が開いています。その穴は感覚受容体と呼ばれる器官とつながっており、その器官でわずかな水の振動や圧力の変化を感じているんです。人間の五感とは別の、魚だけが持つ第六感とでもいう感覚でしょうか。

 このように、魚は全身を使って音や震動を感じているんですね。

 では魚はどれくらいの範囲の音を聞き取ることができるんでしょうか?

 一般的に人間が聞き取ることができるのは、20Hz(ヘルツ)から2万Hzと言われていて、2万Hzを超える、人間に聞き取れない音のことを超音波と言っています。これに対して、魚が聞き取れるのは、10Hzから2千Hz程度と言われています。意外に範囲は狭いんですね。

 余談になりますが、身近にいる動物では、犬やは40Hzから6万5千Hz程度の音まで聞き取れると言われています。皆さんも、犬や猫が不意に何かに反応したように耳を立てて一定の方向をじっと見つめているのをみたことがあると思います。そういった時彼らには、我々には聞こえない何らかの音が聞こえていることが多いんだと思います。

 さらに上をいくのが、イルカです。イルカは、150Hz程度から上は15万Hzまでの音を聞くことができると言われ、音を使って仲間内でコミュニケーションをとっています。

 海のギャングと呼ばれるシャチもイルカと同じように音を使って仲間同士でコミュニケーションをとりながら、集団で狩りをすると言われています。

 餌となるイワシなどの群れを追いかけながら「俺はこっちから追い込むから、お前は右から回り込め」「お前は下へ潜って海面に追い込んでくれ」といった会話が交わされているんでしょうか。

 また魚の中には、我々にも聞こえる鳴き声(音)を出すものもいます。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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