山本:人の悩みを聞いたり、いろんな人の動画を見たりしながら「宇宙Sixでできること」をたくさん研究しました。
原:えらい。
山本:でも自粛当初は、エンタメ界にあきらめを感じていた部分もありました。舞台やライブを無理してやっても誰も得しないな、って思って。
原:いつ収束するかもわからないしね。必死にセリフ覚えた舞台が中止になったりもしたし。
山本:いったん「ゼロ」になったというか。でもいい時間でした。この2カ月がなければ先のことを考えるのを先延ばしにしていた可能性もある。ちゃんと自分と見つめ合えたなと。
──改めて舞台の見どころを。
中屋敷:グロテスクなほど生々しく、リアルな兄弟の関係性が見えるといいなと。3人とも身体能力が高いから、細かい表現が的確でうまいんですよね。目が泳いだりとか、目と手の表情だけであたふたしたりとか。全力をもってパフォーマンスしてくれているから本番も楽しみです。
山本:がんばります! 掛け合いの“間”や緩急の波のつけ方はもっと研究したいですね。
江田:人の出入りも多いし、ひとつ間違うと、全部セリフが飛んじゃうんで気をつけます。
山本:稽古中、「あ、江田ちゃん、頭のなかで台本読んでるな」っていうのがまだわかるからね。目が泳いでるもん。あれ? 会話してくれないぞ!って。
原:今回は江田ちゃんが一番、重要ですからね。お客さんは江田ちゃんの視点で物語に入ってくる。このお芝居のおもしろさは、それで決まるから。
山本:知ってる? いまプレッシャーかけられてるんだよ?
江田:知ってる。チクチクチクと撃ってこられてる(笑)。
(フリーランス記者・中村千晶)
※AERA 2020年7月13日号