生徒のネット環境は、容量無制限の家庭が8割。残り2割は、スマホのデータ通信を使ってネットに接続するテザリングだが、4月、大手携帯3社が学生は50ギガまで容量追加を無料としたためほぼ全員が受講できる環境が整った。家で授業を受けるのが難しい生徒には、学校内にオンライン専用の部屋も設置。こうして4月7日からオンラインで授業を始められた。

 善本久子校長は言う。

「公立の学校でもオンライン授業ができることを示したかった。教員たちで知恵を絞り、PTAの協力も得てこぎつけました。生徒の2割はスマホで授業を受けましたが、スマホでもかなりのことができます」

 今後、新型コロナウイルスによる休校を余儀なくされても、今回培った経験をもとに対処できるという。生徒たちも「クラスに感染者が出ても、オンラインで授業を続けられる」「体調が悪いときに無理して登校しなくてもいいので安心」と話す。

「今後はオンラインと対面と、それぞれの長所を生かした、新たな学びを構築していきたい」(善本校長)

(編集部・石田かおる)

AERA 2020年6月29日号より抜粋