分散登校中の授業風景。クラスの半分は教室、スクリーンに映る残り半分はZoomを使い自宅で授業を受けていた/6月10日、都立白鴎高校(撮影/大野洋介)
分散登校中の授業風景。クラスの半分は教室、スクリーンに映る残り半分はZoomを使い自宅で授業を受けていた/6月10日、都立白鴎高校(撮影/大野洋介)
オンライン授業ではスマホも活用する。「教室では発言できる人数は限られてしまうが、オンラインでは生徒が一斉に考えを発信しみんなで共有できる」(守田先生)(撮影/大野洋介)
オンライン授業ではスマホも活用する。「教室では発言できる人数は限られてしまうが、オンラインでは生徒が一斉に考えを発信しみんなで共有できる」(守田先生)(撮影/大野洋介)

 コロナ禍の長期休校で、オンライン学習の大切さを実感した人も多いのでは。学校は徐々に再開しているが、ここで培った経験はこの先も役立ちそうだ。AERA 2020年6月29日号では、オンライン学習を取り入れている学校を取材した。

【写真】オンライン授業ではスマホも活用

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「はい、読んで」

 国語教員の守田瑞穂さん(28)にそう促されると、教室に姿のない生徒の声がマイクを通じて流れた。6月上旬、分散登校中の東京都立白鴎高校を訪ねた。3密を避けるため、生徒は1席おきに座り、教室には半分しかいない。残り半分はオンラインで自宅から授業に参加していた。教室前方のスクリーンには、自宅で授業を受けている生徒の顔や教材などが映し出される。

 取材した高校2年の現代文の授業では、環境問題がテーマだった。守田先生が、

「メンチメーターを使うよ。環境問題といえば──?」

 と問いかけると、教室の生徒たちは各自スマホを取り出した。メンチメーターとは、リアルタイムで投票結果などを確認できるサービス。生徒たちが言葉をおのおの打ち込むと「砂漠化」「海洋汚染」など、スクリーンに映し出される。多く打ち込まれる言葉は文字が大きくなり、みんなの考えが一目瞭然だ。

 同校がオンライン授業の模索を始めたのは3月。高校と附属中学の保護者に端末確保と家庭のネット環境整備の協力を呼びかけ、経済的に厳しい場合には、都の給付型奨学金がタブレット購入に使えることも必要に応じて伝えた。貸し出し用のタブレットの予備機も準備した。

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