6月26日放送開始予定の金曜ドラマ「MIU404」(TBS)に九重世人役で出演する
6月26日放送開始予定の金曜ドラマ「MIU404」(TBS)に九重世人役で出演する

 主演、話題作への出演が相次ぐ俳優・岡田健史には、可能性という言葉がよく似合う。演じた役や経験を咀嚼し、力に変える根源に、何があるのか。AERA 2020年4月27日号掲載から。

【写真】岡田健史さんが表紙を飾ったAERAはこちら

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 今期のテレビドラマ「MIU404」での、星野源、綾野剛ら豪華キャストとの共演が話題だ。撮影現場はどうかと聞くと、宝物を見つけた少年のように目を輝かせ、「すごいですよ」と3回、興奮気味にささやいた。

岡田健史(以下、岡田):撮影が終わるのが怖いですもん。これほど吸収すべきものがある現場って、なかなかない。僕が足元にも及ばない共演者の方たちと一緒にできるのは、ものすごく幸せだなと思います。

(綾野)剛さんとは違う作品でもご一緒したんですが、僕、初めて剛さんのお芝居を見た瞬間から首ったけです(笑)。作品に対する情熱が半端ない。

 ひたすら剛さんが演技しているのを黙って見て、どうしても聞きたいときは「これどういう意味ですか?」とか、「僕どうしたらいいですか?」とか質問するんです。なんとなくやっていることは何一つなく、全部言語化できる。その姿に衝撃を受けて……。でも、ここまでしか剛さんとのエピソードは言いません。だって、もう僕のものだから。数十年後かに「僕にとっての剛さん」を話せる時が来るかもしれないですが、今はまだ僕も剛さんの言葉を理解しようとしたり、試したりしている途中なので。

 演じるのは、新人キャリア警察官・九重。ちょっと上から目線の若者だ。

岡田:僕自身は人の懐に入るというか、犬で言えばおなかを見せてハッハッってできる快感を覚え始めたところです。僕自身は伊吹(綾野)や志摩(星野)に「こうですよね!」って言いたいけど、劇中はできないのがもどかしい(笑)。作品として正解かはわかりませんが、個人的な願望としては、九重がいつか心を開いて豹変(ひょうへん)してくれるのが楽しみです。

 青春時代は長崎の高校で野球に没頭した。引退後、演劇部の顧問から「やってみんか」と誘われ、「いいですよ」と気軽に応じ、俳優人生の幕が開いた。

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