どんなシチュエーションでも、常に全力でパフォーマンスする。無観客ライブでもそれは同じだった。むしろ、ファンの前でライブができない鬱憤(うっぷん)を爆発させるような、世界中に思いを伝えようとしているような、気迫溢れるパフォーマンスだ。「ANDROID」では、ユンホが画面越しにいる観客のテンションを上げるかのごとく、「行くぜ~!」「みんな一緒に~!」と叫び、「Rising Sun」では、炎が上がるステージの上でチャンミンが雄たけびを上げる。画面からでも伝わる熱量。二人の息遣いまで聞こえてくるようだ。アップになると、顔ににじむ汗や髪の乱れまで、はっきりと見えた。

 パフォーマンスを彩る3DグラフィックスやARエフェクトを駆使した演出も目を引いた。

「明日は来るから」では、二人の頭上を仮想現実の巨大クジラがゆったりと泳ぎ、幻想的な世界が広がった。まるで水槽の中にいるようだ。

 一方、「Why?(Keep Your Head Down)」では、破壊し尽くされた街の中で歌う二人の頭上に戦闘用ヘリコプターが出現。今にも画面を突き破って出てきそうな迫力に、パソコンの前で思わず身構えた。

 他にも、スタジオが韓国の伝統宮殿に様変わりしたり、炎が上がったり。何がリアルで何がフェイクなのかわからない、臨場感ある映像にどんどん引き込まれていく。

 視聴画面横にあるチャットルームを見ると、エキサイトした観客たちの心の声が次々と書き込まれていた。二人が銃を撃つジェスチャーをすると「撃たれたい!」、衣装の切れ目から美しい腹筋が見えれば「チラリズム最高!」と大興奮。動画を評価したいときにクリックする“ハート”は、配信30分後には8千万個に到達。エンディングの頃には2億個を突破した。

 ライブの中盤では、ビデオチャットを使い、直接ファンと交流する時間も設けられた。Q&Aタイムには、抽選で選ばれた韓国・日本・中国・アメリカのファンからの質問にその場で答えた。日本のファンからの質問は、仕事の前のルーティンについてだ。

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