2月29日に公演予定だった主催する「NON KAIWA FES vol.2」も新型コロナウイルスの影響で無観客開催にし、MTVで放送した。自身のガールズバンド「のんシガレッツ」も出演するフェスは、17年の第1回は「音楽があれば会話が出来る!」がテーマ。銀杏BOYZ、サンボマスター、堀込泰行(元キリンジ)が出演。今回は、「女の子の怒りはポジティブなパワーになる!」がテーマで、阿部真央、リーガルリリー、チリヌルヲワカと出演者に女性が揃った。

のん:パワフルなフェスにしたいという思いで、好きなアーティストの方にお願いしたらこうなりました。1回目の時は、ガールズバンドだけどかわいい部分もかっこいい部分も両方見てほしいと思い、そういう感じで固めていったら激しめの方たちが集まり、男所帯になりました。

 2回目に出演いただいた阿部さんやチリヌルヲワカのユウさんは私の青春時代のヒーロー。10代の時に影響されて、自分の当時過ごしていた時間の中に溶け込んでいるふたりです。女の子のパワーを大事にしたくて、2回目はかっこいい女の子を集めてやるぞ!と思いました。

 フェスは今後も続けたい。次は何をしようかなあ、楽しみ。今のこの状況を乗り越えたら、たくさんの方に来ていただきたいです。

 活動の原動力は、意外にも「怒り」だという。

のん:悲しみも喜びも大切ですが、怒りという感情がお気に入りです。私の場合、一番エネルギーに変えやすい感情が怒り。かなり親密につきあって、可愛がっている感情です。ライトに楽しむ怒りのアンテナは、いつも張っていて見逃しません。でも、自分の行動を妨げるような怒りはあえて膨らませないです。

 10代の時はどうにもできなくて悔しくて収まらないという感じでしたが、今は収まらないのを冷たくエネルギーにします。家に帰ってから発散したり曲や絵にぶつけます。怒りをかなり健康的に使っていますね。おなかすいた! と同じです。

 17年の第1作「オヒロメ・パック」にもカバーが収録され、ライブでもたびたび披露する「タイムマシンにおねがい」というサディスティック・ミカ・バンドの曲がある。もしもいま、「タイムマシンにおねがい」ができるとしたら、いつを選ぶだろうか。

のん:遡(さかのぼ)ることができるなら、恐竜がいた時代に行ってみたい。ティラノサウルスの色や大きさを感じてみたいです。未来にも行ってみたいけど、未来はいまの自分たちがどうするかによって変わることだから、過去に行って見たことのないものを見たいですね。織田信長を殺したのは本当は誰なのかとか(笑)、そういうことも知りたいです。

(朝日新聞出版・小柳暁子)

AERA 2020年5月18日号