俳優・創作あーちすと のん(写真:Kentaro MINAMI)
俳優・創作あーちすと のん(写真:Kentaro MINAMI)

 エンターテインメント全般に困難な状況が続く中、「今だからこそ音楽やアートがパワーを持つ」と、SNSなどで発信する。キーワードは「#みんなの部屋充」だ。原動力は、意外にも「怒り」だという。AERA 2020年5月18日号から。

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 俳優以外にも「創作あーちすと」として音楽、アート、ファッションなど多彩な分野で活動する。新型コロナウイルス感染拡大防止のため「stay home」が求められるなか、ツイッターとユーチューブで「#みんなの部屋充」という企画を展開する。

のん:「忘れらんねえよ」の柴田隆浩さんが書いてくださった「わたしは部屋充」という曲があります。「部屋の中にいるわたしは充実している、“部屋充”なんだ」という、リア充の対極にあるような変化球なテーマの曲なんです。新型コロナの感染流行という状況になる前にリリースした曲なのですが、まさに今世界中の人たちの状況を表した曲になっているんじゃないかなと思いました。この曲を掲げて、「みんなで部屋充しようよ!」という思いで始めました。

「#みんなの部屋充」では、柴田さんが「わたしは部屋充」の替え歌を披露している。いまつらい状況にいる人の思いを代弁するような歌詞だ。

のん:柴田さんが歌ってくださったのがすごく嬉しくて。そんな特別なことをしてくれるのかと興奮してしまいました。何かを伝えるために音楽をやっているという実感が湧いて。新型コロナの影響でエンターテインメントなど、いろいろなことが中止になる中で、音楽やアートが今だからこそパワーになると信じられる気がして、めちゃめちゃうれしかったです。沁みますね。

「あまちゃん」の音楽を担当した大友良英さんとは、いまも交流がある。大友さんは2018年のアルバム「スーパーヒーローズ」にも参加。先日、大友さんとやりとりし、「コロナも怖いけどココロナ(心のコロナ)にも用心しなきゃ」と言われた。

のん:それを聞いてハッとしました。影響ははかりしれなくて、感染してしまった方、亡くなってしまった方、お店の営業が難しくなってしまった方などの苦しみをニュースで見て、私自身もめいっていました。実際のウイルスにも対処しなければいけないけど、“ココロナ”にも気遣って乗り切らないといけないと思うし、自分の心も守ってほしい。

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