今こそ大政翼賛生んだ「1938年の教訓」を コロナ禍で政府への苛立ちは何につながるか (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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今こそ大政翼賛生んだ「1938年の教訓」を コロナ禍で政府への苛立ちは何につながるか

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緊急事態宣言を全国に拡大すると発表した安倍首相/4月17日 (c)朝日新聞社

緊急事態宣言を全国に拡大すると発表した安倍首相/4月17日 (c)朝日新聞社

白井 聡さん/京都精華大学教員。専門は政治学、日本思想史。著書に『国体論─菊と星条旗』『武器としての「資本論」』など (c)朝日新聞社

白井 聡さん/京都精華大学教員。専門は政治学、日本思想史。著書に『国体論─菊と星条旗』『武器としての「資本論」』など (c)朝日新聞社

中島岳志さん/東京工業大学リベラルアーツ研究院教授。インド政治や近代日本思想史を研究。著書に『保守と大東亜戦争』など (c)朝日新聞社

中島岳志さん/東京工業大学リベラルアーツ研究院教授。インド政治や近代日本思想史を研究。著書に『保守と大東亜戦争』など (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルス対策における政府の対応は後手後手に回り、感染者は増え続け、経済は凍り付いた。日本に未来はあるのか。AERA 2020年5月4日-11日号では、政治学者の白井聡さん、中島岳志さんのそれぞれの分析を紹介する。

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●それでもまだ腐った安倍政治を支持し続けるのか
白井聡さん(42)政治学者

 新型コロナ関連の政治判断でおかしなものは多々ありますが、私は驚きません。世界中の国が、少なくとも「国民の命を真剣に守らなければならない」という意思がある点で一致しています。今の日本にはそれさえない。元々そういう政権なんです。

 経済再生担当大臣が、新型コロナの対策大臣になっていることも象徴的です。連鎖倒産などで人々が首をくくるような悲劇が起きないようにするのが、経済対策の本質のはず。安倍政権は、これは景気の問題だと考えている節がいまだにある。

 この7年間、徹底的に安倍政治を批判してきました。でも政権は倒れない。選挙で勝ち続けているから。つまり国民は自業自得です。検疫の杜撰さ、進まないPCR検査態勢の充実など行政の無能のために、避けられた犠牲が増える可能性がある。安倍政権を支持してきた人たちや、その勝利を支えた無関心層は「自分たちがいったい何をやってしまったのか」を真剣に考える義務があります。「人殺し」になるのかもしれないのです。

 台湾や韓国の新型コロナ対策が称賛されていますが、「民主的で機能する政府」は天から降ってきたわけではない。強権政治との長年の闘いを経て、彼らはそれを手にしているんです。

 日本はどうか。腐った政権を長年、奴隷根性と無関心によって支持し、一方で反対する人を冷笑やアカ呼ばわりで非難する。そんな精神風土がずっと続いてきた。そういう方々には、カビノマスクがふさわしいのです。

 ただ、光もあります。批判によって和牛券の案が撤回されたり、10万円給付が実現したり、私たちの「怒り」が現に政府の行動に影響を与え、変えさせている。まともに機能する政府が欲しいなら、今後も許しがたいことは許さず、怒りを表明し続ける。そんな当たり前のことに気づく。情けないことですが、ようやく出発点に立つのです。


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