「リーマン・ショック時に派遣切りが始まったのは2~3カ月後です。新型コロナの影響はこれから本格化するでしょう。当時は雇用調整助成金を使って技能実習生の雇用を守る企業も多かったですが、新型コロナの場合は先が見えないため、1年分の給料を先に払ってでも解雇したいという話が出てきている。外国人の採用どころではなくなるでしょう」

 日本の状況に、海外の送り出し機関は戦々恐々だ。フィリピンのマニラ国際アカデミーからは今年4月、日本語と技能試験に合格した約80人が来日し、東京、大阪、兵庫、宮崎の介護施設に入社する予定だった。

「リーマン・ショック時も、日本の求職者が介護などの安定した職場に集まりました。外国人が不要になるかと心配です」

 ビラヌエバ・アリステオ理事長(44)は、そんな不安を口にする。世界が「コロナ不況」に突入する今、不完全な制度に対する議論も先送りになる。(ジャーナリスト・澤田晃宏)

AERA 2020年4月27日号より抜粋