いち早くテレワークの体制を整えた東京・渋谷にあるGMOのオフィス。がらんとしたオフィスになって、もう2カ月を数える(撮影/岡田晃奈)
いち早くテレワークの体制を整えた東京・渋谷にあるGMOのオフィス。がらんとしたオフィスになって、もう2カ月を数える(撮影/岡田晃奈)

 緊急事態宣言で5月6日まで続く外出自粛。リモートワークを早期に導入した企業からは、長期化により多くの課題が見えてきた。AERA2020年4月20日号は、コミュニケーションや金銭面など対策を講じる企業に取材した。

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 地域によっては休校措置が延長となり、幼い子どもを持つ働く親にとっては死活問題といえる事態が続く。パソナグループでは、在宅勤務の対応が難しい従業員に全国のオフィスを開放し、子連れ出勤や、オフィス内の託児スペースに子どもを預けながら仕事ができる体制を構築した。パソナグループ副社長でコロナ問題の対策本部長である渡辺尚さん(55)は「やってみると意外と業務に支障がない、と感じた。コロナ騒動が収まったあとも、風土として残していきたい」と手応えを感じる。

 さらに、渡辺さんは、同社が仲介する採用面談でも、大きな変化があると感じている。これまでは対面を重視しモバイル面談を採用してこなかった、100年企業と言われるような老舗製造業でも、モバイルでの採用面談に応じるケースが増加しているという。渡辺さんは「地方学生や転職活動中の人にも今後応用できるのでは」と期待する。

 緊急事態宣言による外出自粛はGW連休最終日の5月6日まで。テレワークが制度として導入されている企業でも、ここまで長期でのフルリモートは想定外。今後どのような課題が噴出することが考えられるのか。

 1月27日から約4千人の従業員を対象に、いち早くリモートを導入したGMOグループでは、すでにリモート期間が2カ月半近くに及んでいる。同社ではマネジメントを中心に、コロナウイルスの問題に対応するさまざまな分科会で検討している。出社せざるをえない社員のための感染予防策はどうするのか、リモート勤務に対してどんなケアが可能か、売り上げへの影響はどうで、今後どの部門を縮小すべきなのか。分科会でスピーディーに検討されたことで、早期の意思決定が可能になった。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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