「サッポロ一番」でおなじみのサンヨー食品から1988年に発売された子ども向けのカップラーメンだ。志村さんがCMに起用され、「ケンちゃんラーメン、新発売!」という決まり文句で、発売から何年も“新発売”と言っていたのを覚えている。

 当時7歳だった筆者は大人用のサイズのカップラーメンは滅多に食べさせてもらえなかったが、子ども向けのケンちゃんラーメンは買ってもらうことができた。ある日、両親がいない時にケンちゃんラーメンを一人で作ろうとトライしたときのこと。やかんでお湯を沸かし、いざ注ごうとして大やけどをしてしまったこともある。

 生まれて初めてのやけどにトラウマになりそうなものだが、その後も懲りずにケンちゃんラーメンを食べ続けた。ケンちゃんラーメンに付いていたスピードくじの景品にある「ケンちゃんボールペン」が欲しくて仕方がなかったからだ。当たる日まで食べ続け、バカ殿が上に付いたケンちゃんボールペンを見事ゲットした思い出がある。

 子ども向けカップ麺というのはそもそも珍しく、しかも芸能人の名前が商品名についたカップ麺はそれまで聞いたことがなかった。ケンちゃんラーメンは発売から10年以上販売を続け、子どもたちに愛された。

 昭和から平成、令和と時代を超えて愛された志村けんさん。志村さんの笑いは当たり前のものとして多くの日本人の中にあった。突然の別れに心に穴が開いてしまったような気持ちだ。心からのご冥福をお祈りします。(ラーメンライター・井手隊長)

○井手隊長(いでたいちょう)/大学3年生からラーメンの食べ歩きを始めて19年。当時からノートに感想を書きため、現在はブログやSNS、ネット番組で情報を発信。イベントMCやコンテストの審査員、コメンテーターとしてメディアにも出演する。AERAオンラインで「ラーメン名店クロニクル」を連載中。Twitterは@idetaicho

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井手隊長(いでたいちょう)/全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。Yahoo!ニュース、東洋経済オンライン、AERA dot.など年間100本以上の記事を執筆。その他、テレビ番組出演・監修、イベントMCなどで活躍中。ミュージシャンとしてはサザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」などで活動中。本の要約サービス フライヤー 執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。

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