体(てい)のいい言い訳に新型ウイルスを使うのは言語道断だが、感染拡大が経済活動を痛めつけているのも事実だ。

 第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣さんは「どこかの段階で、感染拡大の防止と経済活動のバランスを取る必要がある」と指摘し、こう続ける。

「感染拡大防止策や自粛によって経済活動が停止することで、企業の倒産が相次いだり、自殺者が出たりするかもしれない。大勢が亡くなるような事態を避けるためにも、どこかの段階で出口に向かわざるを得ないでしょう。そのためにも、いろんな補償で経済悪化に伴う犠牲者を出さないようにしなければ」

 ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次さんは新型ウイルス問題を受けて急落した原油価格が、ここ数年経済金融を引っ張ってきた米国経済に影を落とし始めていると懸念する。

「米国は株や社債でエネルギー関係にものすごい投資をしているので、デフォルト(債務不履行)が起きかねない。ウイルス問題が終息しても、金融市場が崩れて米国主導の構造が変わってしまうかもしれません」

 暗闇の出口への道を照らすたいまつを、皆が求めている。(編集部・大平誠、福井しほ)

AERA 2020年3月23日号より抜粋

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福井しほ

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大阪生まれ、大阪育ち。

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