──「できることならスティードで」というタイトルも印象的です。

 割とすぐにフレーズが浮かんできたんですよね。「ホンダ・スティード」は僕がバイクの免許を取ったときにはすでに生産されていなかったのですが、お洒落な大人たちが乗っていた印象がありました。憧れのような気持ちがあったのかもしれません。

──「小学校」と題したエッセイでは「なぜ学校に行くのか」という哲学的とも言える問いに対して、自分なりの答えを出してますね。

 自分自身がこの問題について考えたいから書いていたわけですが、デリケートな部分もあり、書くのに勇気がいりましたね。「なぜ学校に行くのか」の問いに答えつつも、「絶対に行くべきだ」とは思っていないので。たとえばいじめを受けている子どもを無理やり行かせるようなことにはしたくない。だからこそ、自分の小学校時代の話もしなければいけない。読んでくださった大人が、小学生の子どもにうまく説明してくれたらいいなという気持ちはあります。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2020年3月9日号より抜粋