都内の大手IT企業の男性(30)は在宅ならではのプレッシャーを感じる。通勤時間45分はなくなったが、チームの仕事の進み具合を共有するため、1日1時間のウェブ会議を開くことになった。

「上司は進めている案件がどうなったか、オフィスにいたとき以上にこと細かに聞いてくるんですけど、そんなに一気には進まないですよ。さぼっているか監視しているのではなく、上司も心配しているだけだとは思っているんですけど」

 テレワークの準備を周到にした会社もあるが、感染拡大を受けて急遽始めた会社もある。

 冒頭のイベントプロダクション勤務の男性は「テレワークの実施が発表され、実際に始める数日前になって自宅にネット環境のない社員にWi‐Fiルーターの貸し出しがあった。仕事の分担も急いで決められた。仕事の仕方は変わったけれど、評価基準がどうなったかは、特に伝えられていません」と話す。

 働き方が変わっても、求めるものが同じままでは、担当や立場によっては働き手が苦境に立たされる。(ライター・井上有紀子)

AERA 2020年3月9日号