植樹したコーヒーの苗木をチェックする高原さん。沖縄SVの選手たちの日課になっている(写真:普久原朝日)
植樹したコーヒーの苗木をチェックする高原さん。沖縄SVの選手たちの日課になっている(写真:普久原朝日)
沖縄コーヒープロジェクトは、沖縄SV、ネスレ日本、沖縄県名護市、琉球大学が協力して進める、沖縄で初の大規模な国産コーヒー農場をつくる取り組み(写真:普久原朝日)
沖縄コーヒープロジェクトは、沖縄SV、ネスレ日本、沖縄県名護市、琉球大学が協力して進める、沖縄で初の大規模な国産コーヒー農場をつくる取り組み(写真:普久原朝日)
沖縄SVでプレーする高原さん(右)。高原さん自身がこのスポーツクラブを設立。活動はサッカー以外にも広がる(写真:沖縄SV提供)
沖縄SVでプレーする高原さん(右)。高原さん自身がこのスポーツクラブを設立。活動はサッカー以外にも広がる(写真:沖縄SV提供)

 サッカー元日本代表の高原直泰さんが、いま挑戦しているのが、コーヒー栽培だ。コーヒー産地の北限でもある沖縄で、困難を乗り越えながら仲間たちと進めるプロジェクトがある。AERA 2020年2月10日号の記事を紹介する。

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 沖縄の背骨とも言われる国道58号を北上し、海岸沿いをそのまま走り名護市に入ると「道の駅許田(きょだ)」がある。その裏には小高い山が広がり、あたりは緑が生い茂っている。

 車で山を登ること数分、約3千平方メートルのコーヒー農園が現れる。現在その場所で、沖縄で初となる大規模な国産コーヒー栽培を目指す「沖縄コーヒープロジェクト」が産学官連携で進められている。

 このプロジェクトを立ち上げた一人が、サッカー元日本代表で、現在は自身が設立した沖縄SV(エスファウ)でプレーする高原直泰(なおひろ)さん(40)だ。

「まず、沖縄SVを立ち上げたときに、チームとして農業を一つの事業としてやっていきたいという思いがありました」

 2015年12月、高原さんは「スポーツ立県」を目指す沖縄県を拠点とするサッカークラブを設立。チームは九州リーグ(5部)に所属し、Jリーグ加盟を目指している。地域との繋がりを重視し、練習の合間に地域イベントや美化活動、サッカースクールなどを行ってきた。その中で農業の課題も感じたという。

「チームのメンバーと実際に農業を営む方のお手伝いをしました。ニンジンの間引きをしたり、25年以上耕作放棄されているような土地を一緒に開墾したりしました。スポーツチームが関わることで農業が直面する問題を解決できないかと思いました」

 15年度の「沖縄の産業の割合」は、観光・商業・情報通信などの第3次産業が全体の84.2%なのに対し、農業・漁業などの第1次産業は1.3%にとどまっている。農業就業者の高齢化や後継者不足、消費地から遠いがゆえの流通コスト高による競争力の問題などを抱える。

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