――悪性リンパ腫は病気の型の特定までに時間がかかる。茅原さんは、入院前の検査には付き添わなかった。一方、仕事の整理にまつわる判断では、同じ業界で働く同志として助言もした。

 夫婦としての私の役割は、ともに悩むことじゃなく、要所要所の判断やマネジメントで、物理的にやれることをちゃんとやることだと。子育ても含めて、そんなスタイルを通してきました。検査は彼が受けるわけだし、病院に付き添っても、私にできることはない。だったら、私の役割は普段通り働くことだよねと。

 ただ、彼はフリーになりたてで、入院までの仕事の整理が大変だった。「この仕事とあの仕事があるから、生番組で病気の経緯を話した後も、入院まで3日間ほしいかな」と直前に迷っていました。私はアナウンサー経験のある仕事の同志でもある。「そこはスパッと区切って入院してください」と言いました。

2月3日(月)発売の「AERA」では、大切な人ががんになったとき、家族はどう振るまい、どう支えればいいのかを特集。茅原ますみさんが初めて、メディアに思いを語ったインタビュー全文をご覧いただけます。

○ちはら・ますみ/1964年生まれ。テレビ東京で報道記者、アナウンサー、ドラマ制作などを経て、現在は総務人事局でCSRなどに携わる。笠井さんとは学生時代のアナウンサー学校の同期

(構成/古川雅子)