一度大きな地震が起きると、その地震よりも規模の小さな余震を繰り返しながら収束に向かうのが一般的だ。一方、本震と呼ばれる大きな地震の前の前震の場合、同規模の地震が頻発し、その後さらに大きな本震が起きるケースが多いという。

 例えば2016年の本地震の際は、4月14日にM6.5の大きな地震が起きたあと、M5.8、M6.4といった規模の近い地震が頻発。2日後の16日にM7.3の本震が起きた。

「今回、茨城北部では4日にM4.8の地震が起きたあと、翌日にM3.9やM4.5の地震が起きています。あくまで統計的にですが、過去の地震の際の前震と似た特徴があります」(長尾さん)

 関東北部での地震活動は、いったん落ち着いたようにも見える。しかし、長尾さんによると前震から本震までの期間は様々で、地震学的には2日も2カ月も「誤差」の範囲だという。

「近いうちに、M6程度の比較的規模の大きな地震が起きる可能性は捨てきれません」(同)

 では、茨城県の北部と南部、栃木県北部の3カ所で起こったそれぞれの地震の関連性はあるのか。活断層や内陸地震の研究を専門とする東北学院大学・中央学院大学講師の水本匡起さんはこう否定する。

「3カ所で起こった地震はそれぞれ、発生のメカニズムが異なります。関連はないと考えるのが自然でしょう」

 今回発生した地震のうち、茨城北部と栃木北部で発生した地震はそれぞれ震源の深さが約10キロと浅く、茨城南部の地震は50~60キロとやや深かった。一般的には、震源が浅く、内陸で起きる地震は活断層や火山活動による影響が考えられ、深い場所で起こる地震はプレート間やプレート内部に要因があると推定される。平面的には近い場所で起こっても、立体的に考えると発生位置も要因も大きく異なるのだ。

 今回の3カ所の地震のうち茨城県北部の地震は、東日本大震災以降続いている「日本列島が太平洋側へ引っ張られる力」によって、地表に近い岩盤が縦に動いたことによる活断層型の地震だという。

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