日韓関係は過去最悪と言われるが、日本の街には相変わらずK‐POPが鳴り響く。韓国ではどうなのか。AERA 2019年12月9日号は、韓国のビジネス紙と200人の対面アンケートを実施し、生の声を聞いた。
【驚くほど同じに見える? 日本と韓国の街並みを写真で比較した】
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「戦後最悪」とされる日韓関係。「嫌韓」が声高に叫ばれた今秋、AERAは韓国の中堅経済紙「亜洲経済」との共同アンケートを企画した。AERAも亜洲経済も現役で働く世代が主な読者層だ。日本で116人、韓国で100人に共通の質問に答えてもらい、個人の価値観や思いにフォーカスした。
日本側から結果を見ていこう。調査は[国民投票/住民投票]情報室の協力を得た。東京と大阪で11月16~18日の3日間、街頭などで調査員が対面して回答を記入してもらった。
同室の今井一事務局長(65)は「今回の調査は学術的な統計データとして活用される『世論調査』とは別物です」と断った上で、こう意義を強調する。
「電話やネット上の調査ではなく対面式で実施したため、個人の本音に近い回答を丁寧にくみ取ることができたと思います」
「韓国は好きですか、嫌いですか」との質問に、「好き」と答えたのは36人、「嫌い」は20人、「どちらでもない」は60人だった。
「どちらでもない」を選んだ理由には、「韓国という国がやっていることは好きではないが、普通に生活している韓国人のことは嫌いではない」「好きなほうに近いが、慰安婦問題など日本を悪く報道している面もあり……」など国の対応や報道の影響をうかがわせる回答があった。
「好き」な理由としては、「K‐POPが好き」「食べ物がおいしい」といった声が幅広い世代であがった。「自力で民主化を勝ち取った」「人との関係性の濃さや議論する文化、批判精神など、日本人や日本の社会に足りないものをもっている」との意見もあった。
一方、「嫌い」な理由としては「事大主義、嘘つき」「国と国との約束を無視している」など政治問題に絡む不満が目立つ。年代別で見ると60歳以上の29人中、「好き」と答えたのは3人にとどまった。今井氏はこんな見方を示す。
「年配の人は韓国に対して『目下の隣国』という意識が抜けないように感じられます。一方、若い世代の韓国に対する印象は別世界のように多様な価値観に支えられているようです」
多様さを示したのは「韓国、韓国人と聞いて、最初に思い浮かべる『もの・人』は何ですか?」という質問への回答だ。