「桜を見る会」に関して説明する安倍晋三首相。自身の関与の有無など説明は揺れ動いている/11月18日午前10時2分、首相官邸 (c)朝日新聞社
「桜を見る会」に関して説明する安倍晋三首相。自身の関与の有無など説明は揺れ動いている/11月18日午前10時2分、首相官邸 (c)朝日新聞社

 桜を見る会を巡る問題で、安倍首相本人と昭恵夫人の関与が明るみに出た。野党だけでなくポスト安倍の面々も説明を求めており、逃げ切りは難しい情勢だ。この問題をめぐる事務方や与野党の動きに迫った、AERA 2019年12月2日号の記事を紹介する。

【写真】満開の笑顔を見せる昭恵夫人

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 20日の参議院本会議。これまで安倍晋三首相は「桜を見る会」の招待者の人選に関し、「そのとりまとめには関与していない」と明言してきたが、ここにきて安倍事務所が内閣官房からの推薦依頼を受け、幅広く参加希望者を募る中で、「私も事務所から相談を受ければ、推薦者について意見を言うこともあった」と自らの関与を認めた。虚偽答弁への謝罪はなく、野党は反発を強めている。

 霞が関の関係者はこう分析する。

「首相答弁が後になって翻るのは周知の事実。これは首相が秘書官とだけ調整し、事務方に根回しをしないことが原因。会見でもその場のメンツを守るためだけに思いつきで発言をする傾向がある。その度に事務方が慌てて、帳尻を合わせるために動く。ただ、どうにもならないことが出てくるから、後になって自らの発言をそれらしく訂正し、翻さなければならない」

 部下の手柄は上司のもの。上司の失敗は部下の責任──。結果、矢面に立たされているのが内閣府の大西証史内閣審議官だ。衆院の内閣委員会では野党の追及に対し、「安倍事務所において幅広く参加を募る中で、夫人からの推薦もあったとのことだ」と「昭恵枠」の存在を認めた。

 また、共産党の宮本徹衆議院議員が、内閣府に対して桜を見る会に関する資料を要求をした日と、政府が参加者名簿を破棄した日付が同じだった件について問われると「大型のシュレッダーを使おうとしたところ、各局の使用が重なったから」と釈明。このやりとりを見た野党議員は語るに落ちたと憤る。

「政権中枢を支えるエリート中のエリートが、この程度の言い訳しかできない実態が、この案件の根の深さを物語っている。絶対にオモテにできない事情があるのだろう」

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