「枝豆やもずく、サラダや刺し身などを食べながら、が多いです。正直、飲みすぎたときは体が弱ってくるのか、花粉症がひどくなってくるような気も……」

 腸の状態を整えることが花粉症の症状軽減につながることは、何も東洋医学だけで言われているわけではない。くすのき内科クリニック院長の楠正典さんも、その重要性を指摘する。

「実は、腸は人間の体内で『外側』なのです。様々な食べ物と、それに付着した菌が入ってくる。小腸だけでテニスコート1面ほどの面積があり、それだけ菌に触れやすく、体の中で最も免疫が発達しています。そこの免疫バランスが崩れると、全身に影響を及ぼし、過剰な免疫反応、つまり花粉症などの症状につながるという考え方があるんです」

 松生クリニック院長の松生恒夫さんも、花粉症にとっての腸の大切さを指摘する一人だ。最近の研究では、腸で生み出される免疫細胞「Tレグ(制御性T細胞)」に注目している。

 アレルギーや自己免疫疾患を引き起こす「免疫の暴走」を抑制するブレーキ役として研究が進んでいるこのTレグ細胞は、腸内細菌である「クロストリジウム菌」の中のある特定の種類が集まると増やせることがわかってきている。そのためには、不足しがちな食物繊維をしっかりとることが大事だと松生さんは言う。

「食物繊維をとると腸内細菌のエサになり、短鎖脂肪酸(酪酸)を出します。この酪酸が、Tレグ細胞をコントロールすると言われています。穀物などの炭水化物や、水溶性食物繊維を多く含むキウイなどの果物をきちんととって腸内環境を整えることは、花粉症の症状軽減につながる可能性があります」

 花粉症に効果が期待できそうな食材として、他にどんなものがあるだろうか。楠さんは、ビタミンC、E、βカロテンを含むものを挙げる。

「グレープフルーツやうなぎ、かぼちゃなどの食材には抗酸化作用のあるβカロテンが豊富です。アレルギーは酸化ストレスによって症状が増悪されることがあるので、それを抑える効果が期待できます」。ただし、食物アレルギーには注意が必要だ。

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