ノンフィクション作家が見た貧困の実情「貧困が犯罪を生むのではない」その真意とは? (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ノンフィクション作家が見た貧困の実情「貧困が犯罪を生むのではない」その真意とは?

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澤田晃宏AERA#読書
石井光太(いしい・こうた)/1977年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執筆活動を行う。『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』など著書多数(写真部・掛祥葉子)

石井光太(いしい・こうた)/1977年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。国内外の貧困、災害、事件などをテーマに取材・執筆活動を行う。『虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか』など著書多数(写真部・掛祥葉子)

デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する

カル・ニューポート,長場 雄,佐々木 典士,池田 真紀子

978-4152098870

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『未来を変える方程式本当の貧困の話をしよう』は、ノンフィクション作家の石井光太さんがその膨大な取材をもとに語る「本当の貧困」の話。ストリートチルドレンや人身売買など、世界と日本の貧困の現場を見続けてきた石井さんに話を聞いた。

*  *  *
 大きな声でガハハと笑い、質問をすれば、マシンガンのように言葉が返ってくる。書き手としての石井光太さん(42)しか知らないと、思わず面食らう。だって、プロフィル写真には、いつも寡黙で、気難しそうな表情で写っているもの。そう伝えると、「作品の内容的に、にっこり笑顔でというわけにもいきませんから」と、白い歯を見せた。

 2005年、アジアの物乞いや障がい者を描いた『物乞う仏陀』でデビュー。30代で活動の舞台を日本に移してからも、戦災孤児の現在までを追った『浮浪児1945─戦争が生んだ子供たち』や、虐待事件の加害者に肉薄した『「鬼畜」の家─わが子を殺す親たち』など、一貫して貧困や立場の弱い人の姿と声を書き続けてきた。

 その原動力は、弱者の味方を気取った安っぽい正義感ではない。人間への飽くなき興味だ。

「お金持ちって、本当の人間性を見せずとも、建前の中で生きていけるじゃないですか。だけど、貧困のなかに置かれた人たちは、肉体と肉体をぶつけ合って生きている。売春にドラッグ、暴力……。想像もできない人間の生きる姿を見たいのです」

 本作は、小学校から大学まで、さまざまな教育機関で「貧困」をテーマに講義した内容をまとめたものだ。海外、そして日本の貧困を見続けてきた石井さんの一つの集大成だ。

「貧困が犯罪を生むのではない。それはあくまで結果論。何が貧困を生み出しているのかを理解しなければ、貧困を解決できない」

 もっとも、貧困を語る前に、分断に危機感を覚えている。石井さんに講演を依頼する教育機関には、貧困の当事者が交じる公立学校もあれば、裕福な子どもたちが集まる私立の進学校もある。後者のほうが居眠り率は高く、感想文も通り一遍だと感じている。


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