本マグロとろ(左)と赤身のお寿司
本マグロとろ(左)と赤身のお寿司
ど迫力、100キロを超える巨大クロマグロ
ど迫力、100キロを超える巨大クロマグロ

 以前このコラムで書いた通り、回転寿司でお客様に一番人気の商品は「サーモン」ですが、次に人気なのは「マグロ」です。サーモンが女性やお子様に支持されているのに対して、マグロは男性のお客様の人気が高く、男性のお客様だけでは人気ナンバー1のネタとなっています。

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 そして皆さんご存じの通り、マグロは、赤身、中トロ、大トロと部位によって呼び名が変わり、値段も大きく変わります。生の本マグロの大トロが1貫2千円とか3千円という高級なお店も結構ありますよね(筆者は行ったことはありませんが……)。毎年、年始にはマグロの初競りで1億円超の値が付いたというニュースも流れます。

 なぜマグロはこんなにも高いんでしょうか?

 一口にマグロと言っても、クロマグロ(本マグロ)からミナミマグロ(インドマグロ)、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガ(ビンチョウ)マグロといろんな種類のマグロがあります。中でも、北半球の熱帯から温帯域に生息しているクロマグロと、南半球の熱帯から亜熱帯海域に生息するミナミマグロが高級魚として人気を集めています。

 特にクロマグロは、大きいものは数百キロ級にまで育ちます。大きい魚体は、それだけ餌を多く食べているので身の脂の乗りもよく、人気のトロの部分も大きいと言われていることから需要が高く、値段も高くなっています。年始に話題を集める大間のマグロも、このクロマグロです。

 ただ、クロマグロやミナミマグロは絶滅危惧種に指定されるほど、資源量が少なくなってしまっているんです。それに加えて、中国やアメリカ等の日本以外の国でもマグロの人気が高まり需要が増えていることも価格高騰の原因となっています。

 余談ですが、マグロは口を開けて泳ぎながら、口から入った海水からえらを通して酸素を取り入れて呼吸しているので、止まると窒息して死んでしまいます。従って、昼夜を問わず死ぬまで泳ぎ続けているんです。それもなんだかしんどそうですよね。

 2002年に、近畿大学がクロマグロの完全養殖に成功したというニュースが大々的に報じられ、これでクロマグロが安く食べられると喜んだ方も多いと思いますが、残念ながら完全養殖のクロマグロも、市場の価格を下げることはできていません。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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養殖に成功したのにマグロが安くならない理由