本当に久しぶりの雅子さまの声だった。最後に聞いたのは02年。愛子さま誕生後の会見で、出産時の思いを「生まれてきてありがとう」と語り、涙ぐんだ。その後、体調を崩した雅子さまは会見に臨むことはなくなり、毎年の誕生日も「ご感想」を文書で発表するだけだった。

 それから17年。高く明るい声に雅子さまの今の心境を思い、うれしくなった。前向きに皇后としての道を歩く雅子さま。

 きっとヘアスタイルは、これからも変わっていくだろう。働き方との関係、時代の空気。雅子さまのさまざまな判断、思いが投影されるに違いない。

 願わくば、それを国民に語っていただきたい。ありのままに思うところを、言葉にしていただきたい。

 この夏、那須で聞こえた、明るく、高い声で。(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2019年9月23日号

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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